VtigerCRMとSalesforceを比べるときは、月額料金に加えて、必要な業務をどう実現するか、誰が運用を担うかを確認することが大切です。

Vtigerのオープンソース版は、自社または委託先で環境を構築し、業務に応じた変更を検討する方式です。Salesforceはクラウドサービスとして利用し、必要な機能に応じてプランや追加製品を選びます。どちらも、導入後の設定管理や現場での定着が重要になります。

この記事では、費用、カスタマイズ、連携、運用体制の違いを整理し、中小企業が選ぶときの基準と、Salesforceからの乗り換えを検討する際の確認点を解説します。

1.VtigerCRMとSalesforceの違いを一覧で比較

Vtigerオープンソース版はソースコードを利用した変更を検討でき、Salesforceにも設定・自動化・追加アプリなどの拡張手段があります。[1][3]「カスタマイズできるか」に加え、どの方法で実現し、費用と保守を誰が担うかまで確認しましょう。

製品の位置付けと、導入前に確認したい違い
比較軸Vtiger オープンソース版Salesforce
利用する形自社または委託先で環境を構築・運用契約するクラウドサービスを利用
費用の見方本体のライセンス料と、構築・保守などの費用を分けるプラン・利用人数・追加製品・導入支援などを確認する
業務への対応標準設定、拡張機能、ソースコードを利用する改修を検討契約プランに応じた設定・自動化・追加アプリ・開発を検討
基盤の運用サーバーやソフトウェアの更新を自社・委託先で管理サービス側が管理する範囲と、自社の設定管理を区別
外部システム連携必要な連携方法、開発、保守を確認連携手段に加え、APIなどの利用条件・追加契約を確認
将来の変更環境・データ・改修内容を引き継げる条件を確認設定や連携の引き継ぎ、契約更新、データ出力の条件を確認

どちらが適しているかは、業務の内容と管理体制で変わります。Salesforceですでに業務が回っているなら、その仕組みを維持する価値も含めて考えます。新規導入なら、必須の業務を同じ条件で試して候補を絞りましょう。

2.料金比較|ライセンス料と導入・運用の総費用を分ける

Vtigerは本体が無料でも、構築や保守の費用がかかる

Vtigerオープンソース版のソフトウェア本体は無料で利用できますが、公式サイトもホスティング、カスタマイズ、保守、支援などの費用が発生し得ることを案内しています。[1]利用人数が増えた場合も、サーバー容量やサポート負担を含めて見積もる必要があります。

Salesforceは、必要機能を使えるプランで見積もる

Salesforceの料金はプランと契約条件によって異なります。入門プランでできることと、より高度な自動化や連携のために必要な契約を分けて確認します。

公式掲載価格の例(2026年10月19日確認)
対象価格の例費用・契約上の確認点
Vtiger オープンソース版本体のライセンス料:0円サーバー、構築、移行、開発、保守は別途。vtplusのサービス料金とは異なる
Salesforce Starter Suite3,000円/ユーザー/月(税別)月払いまたは年払い。必要な機能が含まれるか確認
Salesforce Pro Suite12,000円/ユーザー/月(税別)年間契約。追加製品や導入・運用支援は別途確認

Salesforceの料金・契約条件は公式料金ページ、税別表示は公式の料金解説で確認しています。[2][4]上表はプラン例であり、全プランを網羅していません。同じ機能・支援範囲でそろえた見積もりでもありません。価格や提供条件は申込時に再確認してください。

10ユーザー・3年間のライセンス料を計算する例

掲載単価が変わらず、割引や追加購入がないと仮定すると、Starter Suiteは3,000円×10人×36か月=108万円、Pro Suiteは12,000円×10人×36か月=432万円です。いずれも税別で、初期設定・移行・支援などを含みません。

これは料金の積み上げ方を示す計算例です。両プランの機能は異なり、Vtigerの導入総額や、乗り換えで削減できる金額を示すものではありません。

総費用を比較同じ人数・期間・業務範囲で、3つの費用をそろえる
導入する費用

業務整理・初期設定
データ移行・追加開発
試験・操作説明

使い続ける費用

利用料・サーバー
追加製品・保守
社内の管理作業

変更する費用

機能・人数の変更
連携や帳票の改修
移行・再教育・重複利用

自社で発生する項目を見積もります。両製品にすべて同じ費用が生じるという意味ではありません。

比較する期間を3年などにそろえ、外部への支払いと社内工数を分けます。乗り換えの場合は、旧契約の残存費用や移行期間中の重複利用も含めて確認しましょう。

3.カスタマイズ・連携は、実現方法と保守まで比較する

Vtigerは、自社で管理する環境に合わせた改修を検討する

オープンソース版では、ライセンス条件の下でソースコードの変更を検討できます。[5]独自の管理情報や処理が必要な場合は、標準機能で対応できる部分を確認し、不足する範囲を拡張・開発する方法があります。

改修には、仕様の記録、動作確認、更新時の検証も必要です。開発費だけでなく、数年後に別の担当者が変更できる状態かまで確認します。

Salesforceも、設定・追加アプリ・開発で業務へ合わせられる

Salesforceには、プランに応じたカスタマイズや自動化の仕組みがあり、追加アプリなどの活用も検討できます。外部連携に使うAPIは契約条件の確認が必要で、公式の中小企業向け料金表では、Pro SuiteのWebサービスAPIにアドオンの記載があります。[3]

「クラウドサービスだから変更できない」と判断せず、目的の業務をどの設定・製品・開発で実現するかを確認しましょう。機能を増やす場合は、利用条件と運用負担を一緒に見ます。

変更方法を整理製品名より先に、必要な変更の種類を決める
設定で対応項目・選択肢
一覧・権限
利用可能な自動化
追加機能で対応帳票・承認・連携
追加製品の契約
互換性と更新方法
個別開発で対応独自の処理・業務
要件と検証範囲
保守・引き継ぎ
共通の確認手順です。各手段で実現できる範囲は、対象製品・プラン・追加機能によって異なります。

Outlook・Teams・AIは、用途を具体的にして確認する

「Microsoft 365連携」でも、メール履歴の共有、予定表の同期、Teamsへの通知は別の要件です。対象データ、更新方向、実行タイミング、連携が失敗したときの確認方法までそろえて質問します。

AIも、要約、文章作成、予測などの用途を決め、必要なプランや追加契約、利用量の条件を確認します。Vtiger公式クラウド版のAI機能を、オープンソース版の標準機能として扱わないことも大切です。

現場担当者と管理者が業務要件を持ち寄り、CRMの費用と運用方法を比較するイメージ
現場と管理者が同じ業務要件で確認すると、必要なプランや開発範囲を絞りやすくなります。画像はイメージです。

4.運用・保守と、将来の引き継ぎはどう違う?

運用では、システムの基盤を管理する作業と、業務のルールを管理する作業を分けます。Salesforceでも、利用者、権限、項目、連携、入力ルールなどを自社側で管理する必要があります。

運用の担当範囲基盤と業務、それぞれの担当を決める
Vtiger オープンソース版
自社または委託先で基盤を管理

サーバー、更新、バックアップ、復旧に加え、項目・権限・データ・連携を管理します。

Salesforce
サービス側の管理範囲を利用

自社では業務の設定やデータを管理し、変更時には連携や追加アプリへの影響を確認します。

責任範囲の整理例です。実際の管理・保守範囲は、契約と導入構成で確認してください。

継続利用や支援会社の変更は、契約と引き継ぎ条件で確認する

Vtigerを自社で管理する環境に構築する場合、将来の保守体制や支援先を選ぶ余地を持てることは検討材料になります。そのためには、サーバーの契約、管理権限、データ、改修内容、追加機能の利用条件を把握しておく必要があります。

Salesforceも、設定や仕様を記録しておけば、社内担当や支援会社を変更する際の引き継ぎに役立ちます。どちらも特定の担当者だけが内容を知る状態を避け、変更記録や運用手順を残しましょう。

5.自社に合うのはどちら?業務と体制から考える

以下は本記事の選定上の目安です。製品の優劣や、すべての企業に共通する推奨を示すものではありません。

Vtigerを候補にしやすい場合

独自業務に合わせた改修が必要
運用環境を自社側で管理したい
構築・保守を担う体制を用意できる
長期の費用を個別に見積もりたい

Salesforceを候補にしやすい場合

クラウド基盤を利用したい
必要機能をプランや追加製品でそろえたい
設定管理を担う体制を用意できる
既存の設定や連携を活かしたい

新規導入なら、最初に使う業務を一つに絞る

顧客検索、商談更新、次回対応の登録など、最初に改善する業務を決めます。必要な機能を使える契約と構成をそろえ、入力担当者と管理者で試すと、導入後の運用を具体的に考えられます。

利用中なら、積み上げた設定・連携・教育も評価する

すでに動いている承認や連携、現場が慣れた操作、帳票などには、維持する価値があります。表示単価が下がっても、それらを作り直す費用や入力の負担が増えるなら、期待した効果を得られない場合があります。

6.Salesforceの費用が気になるとき、乗り換え前に確認すること

費用の見直しでは、まず現契約と使われ方を調べます。新規向けの掲載価格だけで判断せず、契約書・見積書にある料金、更新時期、利用者区分、追加製品を確認しましょう。

  • 利用者:実際に使う人と、必要な作業に合った契約になっているか。
  • 機能:業務で使う機能と、使っていない追加製品が分かれているか。
  • 運用:入力されない理由は、製品の制約か、設定やルールの問題か。
  • 変更条件:契約更新、プランや人数の変更、追加製品の解約条件はどうなっているか。

そのうえで、現環境の運用改善、契約・構成の見直し、別製品への移行を比較します。契約変更が可能な範囲と時期は、提供元へ確認してください。

Vtigerへの移行を検討する場合は、現在の機能をすべて再現するのではなく、残す業務、簡略化する業務、廃止する業務を整理すると、必要な構築範囲を決めやすくなります。

7.SalesforceからVtigerへ乗り換えるときの進め方

乗り換えは、顧客一覧の移動だけでは完了しません。商談、活動履歴、ファイル、独自項目、承認、連携などを調べ、移すものと作り直すものを分けます。

Salesforceにはデータのエクスポート手段がありますが、利用方法や条件は契約・権限などで確認が必要です。公式学習資料でも、データエクスポートサービスやデータローダーなどの方法が説明されています。[6]一覧表を出力できたことだけで、必要な履歴や関連情報をすべて移せるとは判断しないようにしましょう。

移行前に棚卸ししたい対象
対象確認すること
顧客・連絡先・商談独自項目、選択肢、担当者と、レコード同士の関連をどう移すか
活動・メール・添付資料取得できる範囲、日時、作成者、関連先をどう保持するか
独自の管理情報移行先でどのデータ構造へ対応させるか。履歴や参照関係を残せるか
承認・自動処理・帳票移行先で必要なルールを設計し直し、同じ業務が成立するか試す
外部連携・権限接続先と更新方向、利用者の閲覧・編集範囲を再設定して確認する
乗り換えの5ステップ調査・試験を終えてから、更新先を切り替える
  1. 現環境と契約を調べる必要なデータ、設定、連携、取得方法、契約更新時期を確認します。
  2. 移行先の設計を決める項目・IDの対応、関連付け、残す機能と作り直す機能を整理します。
  3. 代表的なデータで試す件数、内容、履歴、関連、権限と、業務の操作を確認します。
  4. 最終データで切り替える更新停止と差分取り込み、確認手順、問題時の戻し方を決めます。
  5. 運用を確認して契約を整理する必要なデータを確保し、新環境の利用確認後に旧環境の扱いを決めます。

少量の試験では、単純な顧客だけでなく、複数の商談や添付資料がある案件、担当変更のある案件なども選びます。新旧のIDを対応付ける記録を残し、関連先が正しいかまで確かめましょう。

切り替え期間に新旧の両方で自由に更新すると、情報が食い違います。どちらを正しい更新先とするか、切り替え日時と差分の扱いを決め、移行結果を確かめるまで元データを保管します。

8.比較デモでは、同じ業務と役割で試す

画面の見た目だけで使いやすさを判断せず、同じ業務を同じ条件で試します。検証用のデータを用意し、入力担当者と管理者が次の操作を確認しましょう。

  1. 会社名や担当者名から顧客を探し、進行中の商談を見る。
  2. 過去のやり取りを確認し、今回の対応を記録する。
  3. 次回対応日と担当者を登録し、別の担当者へ引き継ぐ。
  4. 管理者が、必要な案件と対応状況を一覧で確認する。

入力にかかった時間、迷った操作、必要だった設定、契約条件を記録します。スマートフォンで使う場合や帳票が必要な場合も、実際の利用場面で確認してください。試験環境の機能が契約予定の構成に含まれるかも、合わせて確認します。

9.VtigerとSalesforceの比較でよくある質問

Vtigerにすると、必ず安くなりますか?

必ず安くなるとは限りません。本体のライセンス料に加えて、構築、移行、開発、サーバー、保守、社内工数が必要です。必要機能をそろえ、同じ人数・期間の総費用で比較してください。

Salesforceではカスタマイズできないのですか?

設定、自動化、追加アプリ、開発などを検討できます。利用できる範囲はプランや契約で異なるため、必要な業務を具体的に伝えて確認します。Vtigerでも、改修の範囲と保守を考えることが必要です。

Vtigerは社内に技術者がいなくても使えますか?

構築や保守を外部へ依頼する方法があります。その場合も、業務ルールや共有範囲を決める社内担当は必要です。障害対応、更新、設定変更の責任範囲を支援会社と確認してください。

Salesforceの設定や追加アプリを、そのまま移せますか?

同じ状態で移せることを前提にはできません。必要なデータと業務ルールを整理し、Vtiger側の設定・拡張・開発へ対応させます。既存の追加製品の利用条件や、移行先での代替手段も確認します。

vtplusは、Vtiger公式クラウド版と同じですか?

vtplusはVtigerオープンソース版を基盤とするソリューションです。公式クラウド版のプランとは区別し、標準機能、提供される拡張、個別開発、保守の範囲を確認してください。

まとめ|費用と、業務を続けられる構成で選ぶ

Vtigerオープンソース版とSalesforceは、提供形態、費用の組み立て、変更の方法、基盤を管理する範囲が異なります。自社に必要な業務と運用体制を決め、同じ条件で実現方法と総費用を比較しましょう。

Salesforceからの乗り換えでは、現契約の見直しも含めて検討し、移行と再構築の範囲を明確にすることが大切です。試験で業務が成立することを確かめてから、切り替えを進めてください。

参考情報・公式サイト

確認日:2026年10月19日。料金・プラン・提供条件は変更される場合があります。契約時は最新情報と正式な見積もりを確認してください。

  1. Vtiger:Open Source CRM(オープンソース版と費用・運用の概要)
  2. Salesforce:販売価格(Starter Suite・Pro Suiteの料金と契約条件)
  3. Salesforce:中堅・中小企業向け製品の価格設定(カスタマイズ、外部連携、APIの条件)
  4. Salesforce:料金プランの解説(Starter Suite・Pro Suiteの税別表示の確認。最新のプラン構成は[2]を優先)
  5. Vtiger:Vtiger Public License(本体ソフトウェアの利用条件)
  6. Salesforce Trailhead:データのエクスポート(取得方法と条件の確認)