VtigerCRMとHubSpotを比較するときは、まず営業の顧客・商談管理を整えたいのか、Web集客から営業への引き継ぎまでつなげたいのかを決めると、必要な機能と費用を整理しやすくなります。

Vtigerのオープンソース版は、自社または委託先で環境を構築し、業務に合わせた変更を検討する方式です。HubSpotは、CRMを基盤に、営業やマーケティングなどの製品を組み合わせて利用するクラウドサービスです。

この記事では、営業管理、マーケティング連携、料金条件、カスタマイズと保守を比較し、中小企業が選ぶときの基準、併用や乗り換えの確認点を解説します。

1.VtigerCRMとHubSpotの違いを一覧で比較

Vtigerオープンソース版は、公開されたソースコードを利用した変更を検討できます。HubSpotは、CRMを中心に、Sales Hub、Marketing Hub、Service Hubなどの製品を提供しています。[1][2]どちらも、必要な業務をどの構成で実現するかまで確認することが大切です。

製品の位置付けと、導入時の確認点
比較軸Vtiger オープンソース版HubSpot
提供形態自社または委託先で環境を構築・運用契約するクラウドサービスを利用
営業管理顧客・商談などの標準機能と、必要な拡張を確認CRMとSales Hubの機能・プランを確認
マーケティング必要な集客・配信・分析を、標準機能・外部連携・開発のどれで行うか確認Marketing Hubの機能・プランと、営業への引き継ぎを確認
費用本体の利用と、構築・サーバー・保守の費用を分けるHub、エディション、シート、コンタクトなどの条件を確認
カスタマイズ設定・拡張機能・個別改修を検討設定・自動化・追加機能・連携をプラン条件に応じて検討
運用体制基盤と業務設定の管理担当を決める業務設定・データ・配信などの管理担当を決める

「Vtigerは営業専用」「HubSpotはマーケティング専用」と単純に分ける必要はありません。自社で改善したい仕事を具体化し、その範囲を満たす構成と費用で比較しましょう。

2.比較の出発点|営業だけか、集客からの連携まで必要か

営業管理を整えたい場合

顧客情報の共有、商談の進捗確認、対応履歴、次回対応日の管理が中心なら、まず日々の営業業務を試します。管理者が見たい集計と、担当者が入力する項目をそろえ、見積・受注後の業務まで管理するかも決めます。

独自の帳票、複雑な明細、社内の承認が必要な場合は、両製品で何が標準で、何に追加製品や開発が必要かを確認しましょう。

Web集客から営業への引き継ぎまで整えたい場合

フォームで得た見込み客に情報を送り、反応に応じて営業が対応する運用では、顧客台帳だけでなく、配信対象、履歴、引き継ぎ条件が必要になります。HubSpotでは、営業支援のSales Hubとマーケティング向けのMarketing Hubを区別して検討します。[2]

比較する業務の例獲得した見込み客を、次の営業行動までつなげる
  1. 1.問い合わせフォームの内容と、対象の顧客を確認
  2. 2.情報を提供対象と配信条件を決め、反応を把握
  3. 3.営業へ共有担当者と、対応開始の条件を決める
  4. 4.商談を管理進捗、履歴、次の行動を記録
検討用の業務例です。すべてが標準で自動化されるという意味ではなく、必要なプラン・設定・連携を確認します。

Vtigerを中心に構成する場合も、同じ流れを題材に、フォーム、メール配信、反応の確認、営業への共有をどう実現するかを調べます。必要に応じて外部サービスとの連携や開発を見積もります。

使える機能の数よりも、「営業へ渡すときに、何が分かっていれば対応できるか」を先に決めると、導入範囲を絞りやすくなります。

3.料金比較|Hub・シート・コンタクトを分けて考える

Vtigerは本体の利用料と、導入・運用の費用を分ける

Vtigerオープンソース版のソフトウェア本体は無料で利用できますが、サーバー、設定、データ移行、追加開発、保守などは別に必要です。公式サイトも、ホスティングや保守・支援などの費用が発生することを案内しています。[1]

外部の配信や分析サービスを組み合わせる場合は、その利用料と連携を維持する作業も加算します。本体のライセンス料だけで、導入全体の安さを判断しないことが大切です。

HubSpotは、必要な機能と利用者の役割で契約を確認する

HubSpotには無料ツールと有料のエディションがあり、営業、マーケティングなどで必要な製品を選びます。Sales Hubでは、シートの種類によって使える範囲が異なるため、単純な社員数だけで見積もらないようにしましょう。[3]

費用の確認例(2026年10月19日確認)
対象掲載価格・見積もりの考え方確認すること
Vtiger オープンソース版本体のライセンス料:0円構築、サーバー、移行、開発、保守。vtplusのサービス料金とは区別する
HubSpot Sales Hub Starter1シートあたり月額2,400円~(税別、公式カタログの例)契約期間、支払方法、必要シート、割引の条件
Marketing Hubなどの併用必要な製品・エディション・利用量を決めて見積もるコンタクト契約数、追加機能、導入支援費用など

価格は変更される場合があります。期間限定の割引は上表に反映していません。Sales Hubの単価は、マーケティング施策まで含めた総額ではありません。製品を組み合わせたときの見積もりは、単品価格を単純に足して確定せず、実際の契約条件を確認してください。[3]

「マーケティングコンタクト」は、CRMに登録した人数と区別する

Marketing Hubでは、マーケティングツールを使って働きかける対象となるコンタクトを管理し、コンタクト契約数を選びます。CRMに登録したすべての連絡先と、マーケティング対象として扱うコンタクト数を同じものとして計算しないようにしましょう。[4]

費用を見積もるときは、登録総数、実際の配信対象、将来の増加、対象区分を変更する際の条件を確認します。配信対象が増えた場合の料金と、対象を減らした場合の反映時期も確認しておくと、運用後の予算を考えやすくなります。

HubSpotの契約を整理使う機能・使う人・働きかける対象を分ける
使う機能Sales Hubなどの製品
必要なエディション
追加機能と条件
使う人入力・営業活動をする人
確認する人
必要なシートと権限
マーケティング対象Marketing Hubの契約数
対象と対象外の区分
増減時の条件
費用確認の観点です。製品ごとに課金条件は異なるため、導入作業・連携・保守も含めて見積もります。

両製品を比較するときは、同じ利用人数・業務範囲・期間を設定します。初期作業、継続利用料、社内の管理作業、将来の追加費用をそろえて考えましょう。

4.カスタマイズ・外部連携・保守の違い

Vtigerは、改修の自由度と管理する責任を合わせて考える

Vtigerオープンソース版では、ライセンス条件の下でソースコードの変更を検討できます。[5]標準機能で足りない独自業務について、拡張機能や開発で対応する方法があります。

一方、改修内容の記録、他の追加機能との関係、本体を更新するときの検証も必要です。開発費だけでなく、将来別の担当者が保守・変更できる状態かを確認します。

HubSpotも、必要な設定・拡張のプラン条件を確認する

HubSpotでも、必要な項目やデータ構造、外部サービスとの連携を検討できます。ただし、機能や上限は契約により異なります。たとえば独自の管理対象を扱うカスタムオブジェクトには、対応するサブスクリプションが必要です。[8]

「設定でできること」「追加機能が必要なこと」「外部連携や開発が必要なこと」を整理します。どちらの製品でも、Outlook・Teamsとの連携やAI活用は、実現したい処理と利用条件を具体的に確認しましょう。

運用の担当を決める基盤の管理と、日々の業務管理を確認する
Vtiger オープンソース版
自社または委託先で基盤を管理

サーバー、更新、バックアップ、復旧と、項目・権限・連携を管理します。

HubSpot
サービスの基盤を利用

自社ではデータ、利用者、配信、ワークフロー、連携などの運用を管理します。

一般的な責任範囲の整理です。実際のサービス・保守契約で担当範囲を確かめてください。

日本語対応を確認するときは、画面だけでなく、操作説明、帳票、追加機能、問い合わせ窓口まで含めます。保守・運用支援を依頼する場合は、質問への回答と、設定改善・追加開発がそれぞれどこまで含まれるかを確認しましょう。

マーケティング担当者が営業担当者へ顧客情報を引き継ぐイメージ
製品選定では、部署ごとの作業に加え、情報を引き継ぐ場面も確認します。画像はイメージです。

5.自社に合う選び方|業務・集客・運用体制で判断する

以下は本記事の検討上の目安です。どちらかを一律に推奨するのではなく、必要な構成と運用体制を具体化するために使います。

Vtigerを候補にしやすい場合

顧客や商談に関連する独自業務がある
社内の帳票・連携を個別に整えたい
運用環境を自社側で管理したい
構築・保守を担う担当や委託先を確保できる

HubSpotを候補にしやすい場合

集客から営業への引き継ぎを整えたい
必要なHubを組み合わせて使いたい
クラウド基盤を利用したい
配信やデータ管理を継続する担当を確保できる

営業管理が中心なら、日々の更新と引き継ぎを重視する

見積後のフォローや案件会議が目的なら、顧客を探す、対応を記録する、次回対応を登録するという作業を試します。必要な帳票や管理者向けの集計が、候補の構成で使えるかも確認しましょう。

集客を含むなら、誰が施策を運用するかも決める

メール配信やシナリオを用意しても、対象の整理、コンテンツの作成、反応の確認、営業への共有が続かなければ活用しにくくなります。施策を運用する人数と時間も、システムの費用と一緒に見積もります。

HubSpotとVtigerを併用する構成も、条件を整理して検討する

マーケティング側はHubSpot、独自の営業・受注関連業務はVtigerという分担を検討する方法もあります。ただし、これは構成案であり、標準連携の存在や実現可否を保証するものではありません。必要な連携手段と費用を別途確認します。

併用するなら、顧客情報の正しい更新先、重複の判定、渡す情報、同期方向、配信停止などの状態をどこで管理するかを決めます。運用する製品が増える分、照合や障害時の対応も考えておきましょう。

6.無料体験・デモでは、同じ仕事を通して試す

機能一覧や画面の印象だけでなく、入力担当者と管理者が同じ業務シナリオを試します。試験には架空のデータや、社内で利用を認められたデータを使いましょう。

比較する業務シナリオの例

  1. 問い合わせの内容を確認し、会社・担当者へ関連付ける。
  2. 担当者と次回対応日を決め、過去の履歴を確認する。
  3. 必要な資料案内や連絡を行い、結果を記録する。
  4. 商談へつなげ、管理者が対応状況を一覧で確認する。

マーケティングまで使う場合は、配信対象の選択、配信停止の扱い、反応の確認も試します。営業管理だけを対象にする場合は、不要な機能まで比較範囲に含める必要はありません。

試験後は、入力にかかった時間、迷った操作、追加設定が必要だった点、使った機能の契約条件を記録します。試用中の機能が、契約予定のプランにも含まれるかを確認してください。

7.HubSpotから乗り換えるときの確認点

乗り換えでは、顧客一覧だけでなく、取引、活動、ファイル、フォーム、ワークフロー、配信に関する状態まで棚卸しします。HubSpotのレコード出力はプロパティー値や関連付けを扱い、活動の取得は別の手段が必要になる場合があります。[6]

移すデータと、作り直す業務を分ける
対象確認すること
コンタクト・会社・取引独自項目、担当者、ステージ、IDとレコードの関連をどう移すか
メモ・メール・通話など取得できる活動、日時、作成者、顧客との関連をどう残すか
ファイル・フォーム・公開ページ保管するものと移行先で置き換えるもの、Webサイトの埋め込み箇所を確認する
配信に関する状態配信停止、同意、配信不能などの情報を確認し、移行後の誤配信を防ぐ
ワークフロー・レポート条件と処理、必要な履歴を記録し、移行先で実現する方法を設計する

公式ガイドは、データやコンテンツの種類ごとに出力方法を案内しています。ワークフローの一覧や画像を出力できても、そのままVtigerで実行できる設定が得られるわけではありません。フォームなどの契約終了後の扱いも確認してください。[7]

移行の進め方情報の取得と、業務の置き換えを確認してから切り替える
  1. 契約と利用中の仕組みを調べるHub、シート、配信、フォーム、連携、更新時期を確認します。
  2. 移す対象と更新先を決めるデータ・履歴・公開コンテンツと、移行後の正しい更新先を整理します。
  3. 少量で移行と業務を試す件数、関連、活動、配信停止の扱い、権限まで確認します。
  4. フォーム・連携を切り替える最終データと差分を取り込み、受付や通知を確認します。
  5. 運用確認後に旧環境を整理する必要なデータを確保し、契約・公開ページの扱いを確認します。

移行前後で両方の環境を自由に更新すると、情報が食い違います。更新を止めるタイミング、最終差分の扱い、問題があった場合の戻し方を決め、元データを保管します。

現在のHubSpotで営業とマーケティングが連動している場合は、その運用を維持する価値も含めて判断します。契約や構成の見直しで改善できることと、移行が必要なことを分けて比較しましょう。

8.VtigerとHubSpotの比較でよくある質問

HubSpotは無料で使えますか?

無料ツールから検討できますが、必要な利用人数・機能・上限を確認する必要があります。有料版の自動化や営業機能を、無料ツールにもすべて含まれると考えず、実際の業務で必要な構成を確認してください。

Vtigerの方が必ず安くなりますか?

必ず安くなるとは限りません。本体以外に構築、移行、開発、サーバー、保守が必要です。配信や分析に外部サービスを使う場合は、その費用と連携の管理も含めて比較します。

HubSpotのSales Hubだけでマーケティングも十分ですか?

必要な施策によって変わります。営業担当者の活動に必要な機能と、多数の対象への配信やシナリオ運用に必要な機能を分け、どのHub・エディションで実現するかを確認してください。

HubSpotとVtigerは併用できますか?

業務の分担と連携方法を整理して検討する構成案です。実現可否は対象データ、利用する機能、契約条件で確認します。二重管理を避けるため、正しい更新先と同期方向を先に決めることが重要です。

vtplusとVtiger公式クラウド版は同じですか?

vtplusはVtigerオープンソース版を基盤とするソリューションです。公式クラウド版の料金や機能とは区別し、提供機能、個別開発、保守の範囲を確認してください。

9.まとめ|営業とマーケティングの業務範囲から選ぶ

VtigerCRMとHubSpotの比較では、顧客・商談管理に加え、集客、配信、営業への引き継ぎまでどこを対象にするかを決めます。その範囲を満たす構成、契約、運用体制で比較することが大切です。

Vtigerでは構築・拡張・保守の範囲を、HubSpotでは必要なHub、シート、マーケティングコンタクトなどの条件を確認しましょう。同じ業務で試し、導入から運用までの総費用と入力負担を確かめてから選定を進めてください。

参考情報・公式サイト

確認日:2026年10月19日。料金・機能・提供条件は変更される場合があります。契約時は最新情報と正式な見積もりを確認してください。

  1. Vtiger:Open Source CRM(オープンソース版の概要と費用)
  2. HubSpot:CRM製品紹介(CRMと各Hubの位置付け)
  3. HubSpot:製品・サービスカタログ(料金、シート、各種条件)
  4. HubSpot:マーケティングコンタクトについて(対象区分とコンタクト契約数)
  5. Vtiger:Vtiger Public License(本体ソフトウェアの利用条件)
  6. HubSpot:レコードをエクスポートする(プロパティー・関連付けと活動の出力)
  7. HubSpot:Export your content and data(コンテンツ、ワークフローなどの取得)
  8. HubSpot:データモデルの管理(カスタムオブジェクトなどの利用条件)