VtigerCRMの導入費用を考えるときは、ソフトウェア本体の利用料、導入するための作業、使い続けるための費用を分けることが大切です。

オープンソース版の本体は無料で利用できますが、業務設計、環境構築、データ移行、追加開発、保守などには費用や社内の作業時間が必要です。利用人数だけでなく、どの業務まで整えるかで予算は変わります。

この記事では、費用の内訳と、アイプランナーが公開する初期導入・月額支援の料金例を紹介します。1年間・3年間の支援費の計算方法、別途必要になる費用、見積もりを依頼するときの確認点まで整理します。

1.VtigerCRMの導入費用は、3つに分けて考える

Vtiger公式サイトは、オープンソース版の本体が無料でも、ホスティングやカスタマイズ、保守・支援などに費用が発生し得ることを案内しています。[1]「本体が0円」という情報だけで、会社で利用するための総額を判断しないようにしましょう。

予算の組み立て初期・継続・追加の費用を分ける
初期の費用

業務整理・環境構築
項目・権限・移行
開発・試験・教育

継続する費用

運用サポート
サーバー・外部サービス
社内の管理作業

追加・変更の費用

機能追加・連携変更
データや環境の拡張
更新・移行作業

見積もりを整理するための分類です。どの項目が契約に含まれるかは、提供する会社と導入範囲で確認します。

自社で構築する場合も、設定や調査、障害対応などの作業時間は必要です。外部への支払額と社内工数を分けて記録すると、導入方法を比較しやすくなります。

オープンソース版と、公式クラウド版の料金を混ぜない

Vtiger公式クラウド版は、契約プランやユーザー区分に応じて利用するサービスです。[3]本記事で扱うオープンソース版の導入支援費とは費用の構造が異なります。調べた価格が、本体、クラウドの契約、導入支援のどれに当たるかを確認してください。

2.初期導入費用の公開例|社員規模と作業範囲を確認する

アイプランナーでは、初期導入支援費を社員規模で区分し、各区分に一定数の拡張機能作成を含めています。[2]

アイプランナーの初期導入支援費の例(税別)
社員規模初期導入支援費含まれる拡張機能作成数
10名以下100万円2個まで
11〜50名200万円4個まで
51名以上300万円6個まで

初期費用の例で、月額料金ではありません。対象となる作業、拡張機能の仕様・数え方、移行範囲などは見積もり時に確認します。公開料金の確認先:アイプランナーの費用メニュー。

初期導入では、何を「使える状態」にするかを決める

見積もりでは、業務の整理、項目・画面・権限、初期データ、帳票や自動処理、操作説明をどこまで整えるかを確認します。同じ顧客管理でも、連絡先を共有するだけの場合と、商談・問い合わせ・受注関連までつなげる場合では作業が変わります。

「移行一式」「設定一式」という項目がある場合は、対象ファイル、データの種類、件数、修正の分担、確認方法を具体化しましょう。納品時に何を確認して完了とするかも決めておくと、追加作業の判断がしやすくなります。

拡張機能は、個数に加えて仕様を合わせる

一つの機能に、複雑な承認、帳票、複数システムとの連携をまとめて含めると、作業量が大きく変わります。機能名だけでなく、入力する情報、行う処理、出力、例外時の動作まで伝え、含まれる範囲を確認します。

公開メニューには、含まれる作成数を超える場合の追加費用として10万円/個(税別)の例がありますが、実際の金額は内容・規模に応じた個別見積もりです。[2]個数だけで追加予算を確定させず、仕様と合わせて確認しましょう。

3.月額費用|CRM支援・既存拡張・インフラ支援を分ける

同じ公開メニューには、CRMの運用サポート、対象の既存拡張機能の利用、AWS環境の保守支援が別のメニューとして掲載されています。[2]

アイプランナーの月額メニューの例(税別)
メニュー10名以下11〜50名51名以上
OSS VtigerCRMサポート3万円5万円7万円
対象拡張機能の定額利用2万円2万円2万円
AWSインフラサポート2万円2万円2万円
3メニューを使う場合の合計7万円/月9万円/月11万円/月

区分の基準は社員数で、CRMの利用アカウント数とは区別します。上表の合計には、初期費用、AWS実利用料、第三者製品、外部サービス、AI API、個別開発などを含みません。利用するメニューと契約条件は見積もり時に確認してください。

AWSインフラサポートと、AWS自体の利用料を区別する

AWSインフラサポートは環境を保守する支援の料金です。サーバー、保存領域、バックアップ、通信などのAWS利用料は別に考えます。AWSの料金は利用するサービスや量などによって変わるため、想定構成を決めて見積もります。[4]

毎月の予算支援費に、インフラや外部サービスの実費を加える
運用を支える支援CRMサポート
契約する拡張機能
インフラの保守支援
稼働する環境サーバー・保存領域
バックアップ・通信
利用量や構成の変化
追加の外部サービスメール・連携サービス
第三者の製品
AIなどのAPI利用
月額支援の合計だけで、毎月の支払総額を確定しないようにします。必要な項目を同じ税区分・期間でそろえてください。

既存拡張の利用と、新しい開発を分けて予算化する

対象の既存拡張を定額で使える契約でも、個別設定、外部サービス、新しい機能の開発が同じ料金に含まれるとは限りません。導入したい機能が対象か、対応バージョン、設定作業、更新時の検証まで確認します。

また、日常の問い合わせ対応と、本体・サーバー関連ソフトウェアの更新、大きな変更、データの再移行は、作業の性質が異なります。保守費の中で行う作業と、追加見積もりになる作業を確認しておきましょう。

4.1年間・3年間の費用は、どう計算する?

期間をそろえると、初期費用と継続費用の関係を把握できます。まずは公開されている支援費を積み上げ、次にインフラ実費や外部サービス、追加作業、社内工数を足します。

期間をそろえて比較必要な支出を、同じ計算式に入れる

初期費用 + 継続費用 × 利用月数 + 追加・変更費用社内で使う時間は、外部への支払いと分けて管理します。

金額を確認できたもの

初期導入、契約する月額メニュー、金額が確定した追加作業を積み上げます。

見積もりが必要なもの

インフラ実費、外部サービス、追加開発など、条件が決まっていない項目を洗い出します。

金額が未確定の項目を0円として扱わず、残っている見積もり項目として管理します。

公開料金を用いた「初期費用+支援費」の計算例

初期導入に加えて、月額の3メニューをすべて利用し、料金と社員区分が変わらないと仮定した例です。下表は支援費の小計で、導入・運用の総額ではありません。

初期導入支援費+月額3メニューの試算(税別)
社員規模初期費用月額支援費初期+12か月初期+36か月
10名以下100万円7万円184万円352万円
11〜50名200万円9万円308万円524万円
51名以上300万円11万円432万円696万円

AWS実利用料、外部サービス、第三者製品、AI API、追加開発、追加移行、社内工数などは含みません。導入前の作業期間や月額支援の開始日は別途確認します。税別の計算例で、正式見積もりや将来の料金を保証するものではありません。

10名以下の区分で3年間利用する場合

初期100万円 + 月額7万円×36か月 = 352万円です。ここへ、対象期間のインフラ実費や必要な追加サービス・作業を加えて、会社の予算を組みます。

5.費用が変わりやすいのは、どの部分?

データ移行:件数に加えて、整理と関連付けを見る

顧客一覧を移すだけの場合と、商談、活動履歴、添付資料、独自項目まで移す場合では、調査と確認の範囲が変わります。表記揺れや重複、担当者不明のデータを誰が整理するかも決めます。

移行費用の見積もりには、抽出、変換、取り込み、件数照合、関連付けの確認、最終切り替えを含めて考えましょう。旧環境と新環境を併用する期間が必要なら、重複する契約費も確認します。

連携・帳票:完成後の動作まで条件をそろえる

外部連携では、つなぐシステムの名前だけでなく、送る情報、更新方向、頻度、失敗した場合の対応を整理します。帳票も、レイアウト、明細、計算、承認、保存先まで確認すると、作業範囲を具体化できます。

AI活用では、機能を開発する費用と、実行時のAPI利用料などを分けます。「AI機能を付ける」という要望を、要約や回答支援などの用途、対象データ、確認手順へ具体化してください。

インフラ・保守:使い方と必要な対応範囲を伝える

社員数だけでなく、同時に使う人数、データ量、添付容量、重い集計や定期処理なども環境の検討材料です。本番環境に加えて検証環境を用意するか、バックアップや復旧をどの範囲で行うかも確認します。

必要な対応時間、障害時の連絡方法、調査や復旧の担当を明確にします。支援会社がどこまで実作業を行い、どこから自社や別の会社が担当するかを整理すると、保守費を比較しやすくなります。

中小企業の担当者と導入支援者がCRMの作業範囲と予算を確認するイメージ
見積もりでは、金額と合わせて、含まれる作業と確認方法をそろえます。画像はイメージです。

6.無理なく予算を組むために、導入範囲を決める

最初に使う業務と、後から広げる業務を分ける

顧客・商談・次回対応など、最初に改善したい業務を選びます。必要な情報を入力し、別の担当者が引き継げる状態を先に整えると、導入時に必要な範囲を決めやすくなります。

その後の拡張についても、追加するときの費用と確認作業を把握しておきましょう。最初から必要な連携を後回しにした結果、二重入力が続く場合もあるため、業務を成立させる必須条件は先に確認します。

既存機能と追加開発を使い分ける

標準機能や既存拡張で対応できるかを調べ、不足する部分を開発対象にします。単に安い構成を選ぶのではなく、入力負担、確認時間、将来の変更のしやすさも比較します。

担当者の作業時間も予算に入れる

業務のヒアリング、データ整理、試験、操作説明には、社内担当者の参加が必要です。外部へ依頼できる作業と、自社で判断すべき内容を分け、担当と時間を確保してください。

7.見積もりを依頼するときに伝えたいこと

資料がすべて完成していなくても、現在の管理表や帳票、困っている作業を示すと検討を進めやすくなります。次の項目を整理して相談しましょう。

相談前に準備する情報
項目伝える内容の例
社員規模・利用者社員数、利用部門、想定ユーザー、同時利用の状況
業務の目的顧客共有、見積後のフォロー、問い合わせ管理など
移行する情報元の製品・ファイル、データの種類、件数、添付資料
必要な変更帳票、明細、承認、独自の項目・管理対象、追加機能
連携・外部サービスメール、Microsoft 365、基幹システム、AI利用などの目的
環境・保守サーバー、バックアップ、対応時間、管理担当、検証環境
予算・開始時期初期と月額の予算、希望する運用開始日、段階導入の可否
費用を具体化する手順目的・対象・担当をそろえて見積もりを確認する
  1. 困っている業務を整理する誰が、どこで、何に時間を使っているかを伝えます。
  2. 対象と必要な機能を決める移行する情報、帳票、連携、初期に必要な拡張を整理します。
  3. 支援範囲と分担を決める社内と支援会社の作業、保守、確認方法をそろえます。
  4. 初期・月額・別途費用を確認する未確定の項目、作業の上限、追加時の条件を確認します。
  5. 仕様と完了条件を合意する成果物、試験内容、支払条件、月額の開始時点を確認します。

複数の見積もりを比べる場合は、同じ要件と期間でそろえます。記載のない作業を無料とみなさず、含まれるかを確認することが大切です。契約終了時のデータ出力、管理権限、設定や開発内容の引き継ぎも、長期利用の観点で確認しましょう。

8.VtigerCRMの費用でよくある質問

VtigerCRMは無料で導入できますか?

オープンソース版の本体は無料でも、環境構築、設定、移行、保守などの費用や作業時間が必要です。自社で作業する場合も、その工数と継続管理を見込んでください。

CRMを使う人が少なければ、サポートの区分も小さくなりますか?

本記事の公開料金例は社員数を基準としています。実際にCRMへログインする人数と区別し、社員数の数え方や区分が変わったときの扱いを契約時に確認してください。

月額サポートだけで、初期導入も含まれますか?

掲載した料金例では、初期導入支援費と月額メニューは別です。月額に含む作業、初期に行う作業、追加見積もりになる作業を分けて確認します。

AWSインフラサポートには、AWSの利用料も含まれますか?

掲載例では含まれません。支援費とは別に、実際に使うサーバーや保存領域などの利用料が必要です。想定構成と利用量に基づく見積もりを確認してください。

既存拡張の定額利用には、すべての追加開発が含まれますか?

対象となる既存拡張の利用と、新しい機能の開発は分けて考えます。対象製品、設定作業、個別改修、外部サービス、更新対応などの条件を確認しましょう。

他のCRMからの移行も、掲載額でできますか?

移行対象と状態により作業が変わります。顧客だけでなく、商談、活動、添付、独自項目、連携を調べ、公開メニューに含まれる範囲と追加作業を見積もりで確かめてください。

9.まとめ|費用の内訳と、含まれる作業をセットで確認する

VtigerCRMの予算は、本体の利用料、初期導入、継続する支援・インフラ、追加開発を分けて考えます。公開料金を参考にしながら、自社で必要な作業と、別途かかる費用を具体化しましょう。

初期費用だけ、月額だけで判断せず、同じ利用期間で支出を積み上げます。社員規模、業務範囲、移行データ、必要な連携を伝え、使い続けられる構成と予算を確認してください。

参考情報・料金の確認先

確認日:2026年10月19日。金額は税別の公開例またはその計算例です。提供条件と作業範囲は、最新の料金ページと見積もりで確認してください。

  1. Vtiger:Open Source CRM(本体とホスティング・保守などの費用)
  2. アイプランナー:費用メニュー(初期導入支援・社員区分・月額メニュー・別途費用。市場全体の相場ではありません)
  3. Vtiger:公式クラウド版の料金(本記事の導入支援費と別の料金体系)
  4. AWS:料金の概要(サービス別料金と利用量に応じた見積もり)