「この項目には何を書けばよいのか」「選んだ企業の住所を、もう一度入力している」「担当者の候補が多く、選び間違える」。CRMの入力業務には、項目を用意するだけでは解消しにくい負担があります。

IPInputAssist(入力支援)は、入力ガイド、関連情報の自動入力、選択候補の絞り込み、入力書式、郵便番号からの住所入力という、5つの機能を備えたvtplusの入力支援エクステンションです。一つの管理画面から、業務に必要な支援を設定できます。

管理者が画面から対象の項目やルールを設定し、利用者は普段の入力画面でその支援を受けます。説明を読む、候補を選ぶ、関連情報を使う、書式を整える、保存前に確認するという一連の作業を支える、vtplusのノーコード活用の一端を担う機能です。

1.IPInputAssistとは?5つの機能を備えた入力支援エクステンション

IPInputAssistは、CRMのデータを入力する場面に、業務に合わせた補助を加えるエクステンションです。管理者向けの「設定の概要」から各機能の有効・無効や登録数を確認し、5つの設定メニューへ進めます。

5つの機能と、入力業務での活用場面
機能できること活用場面の例
入力ガイド入力例・項目説明・重要項目確認・ブロック移動など商談の記入ルールや、問い合わせの分類基準を案内
関連情報の自動入力企業などの関連先を選び、設定した項目へ転記登録済みの住所・連絡先を、入力画面で利用
選択候補の絞り込み固定条件や入力中の値に合わせて参照候補を絞る選択した企業に所属する担当者を探す
入力書式電話番号・郵便番号・コードなどを指定の形に整える電話番号の区切りや製品番号の表記をそろえる
住所入力郵便番号を使い、指定した住所項目へ検索結果を反映新規顧客や送付先の住所入力を補助

5つの機能は、IPInputAssistの中で個別に有効・無効を切り替えられます。すべてを一度に使う必要はありません。入力ガイドから始め、必要に応じて自動入力や入力書式を有効にするなど、業務に合わせて利用できます。

入力作業の5つの支援入力する人の、迷い・転記・選択・表記を支える
迷わず入力入力例・説明
重要項目の確認
転記を補助関連先から
項目へ自動入力
候補を探す条件に合う
参照先を表示
表記をそろえる電話番号・コードの
入力書式を指定
住所を補助郵便番号から
町域まで取得
一つの管理入口から、必要な機能を設定するモジュール・項目・ルールの対象は、各機能で設定します。
機能の役割を整理した図です。実際の設定画面のスクリーンショットではありません。

「入力項目を作る」から「入力しやすくする」へ

例えば、顧客管理に「対応上の注意事項」という項目を用意しても、何を書けばよいかが人によって違えば、記録の内容はそろいません。入力例を添え、参照すべき情報を使い、重要な未入力項目に気付けるようにすると、業務ルールを画面の中で伝えやすくなります。

IPInputAssistで設定するのは、こうした入力時の振る舞いです。必要なカスタム項目や関連項目は、あらかじめVtigerCRM側で用意します。この拡張だけで、あらゆる業務アプリや外部システム連携を自動作成するものではありません。

2.入力ガイド:項目の意味と、書き方をその場で伝える

入力ガイドは、単にヘルプ文を表示する機能にとどまりません。入力例、説明の見せ方、長い画面の移動、重要項目の確認までをまとめて設定できます。

入力例と項目説明を、別々に設定する

入力例は「どのような内容を書くか」、項目説明は「何のための項目か、何に注意するか」を伝えます。例えば商談の「次のアクション」に対して、次のように役割を分けられます。

入力例:10月23日までに、導入予定時期と関係部門を確認する

項目説明:次に行うことと期限を記入してください。実施済みの内容は対応履歴へ残し、この欄には次回の行動を記入します。

この例文は記事用の提案です。自社の業務に合わせて、実行することが伝わる記入例を管理者が登録します。設定した入力例は補助表示であり、業務データとして自動登録する値ではありません。

項目説明は通常の入力画面に加え、設定により詳細画面にも表示できます。詳細画面で表示するのは説明で、入力例とは区別されています。登録済みのデータを確認するときにも、項目の意味を参照できます。

項目ごとに、4種類の表示方法を選べる

説明の長さや重要度に合わせた見せ方
表示方法表示の仕方使い分けの例
常時表示入力欄の近くに表示全員に確認してほしい短い注意事項
マウスを合わせて表示アイコンへマウスを合わせると表示必要なときに確認する補足
クリック・タップで表示項目の傍に説明を開く通常は閉じておきたい説明
中央ウィンドウで表示クリック・タップで中央に開く長文、手順、判断表など

項目名の先頭に付くアイコンを使い、必要な場所で説明を開けます。短い説明は常時表示、長い判断基準は中央ウィンドウというように分けると、画面を説明文で埋めずに済みます。

書式付き説明では、見出し・箇条書き・表・リンクを使える

説明文には、太字、見出し、本文、箇条書き、番号リスト、http/httpsのリンクを設定できます。表を挿入し、行や列の追加・削除、表の削除を行う操作もあります。管理者は中央ウィンドウでのプレビューを使い、説明の見え方を確認できます。

例えば、問い合わせの優先度を「通常」「急ぎ」「至急」に分ける場合、判断基準と対応の目安を表にして、入力する人がその場で確認できるようにします。説明から社内マニュアルへのリンクを設ける使い方もできます。

書式付き説明は、業務ルールを読みやすく示すための機能です。結合セルのある表では行・列の追加削除に制約があるため、編集しやすい単純な表から始めるとよいでしょう。

ブロック移動と、重要項目の未入力確認

長い入力画面では、上部のブロック移動ボタンから目的のまとまりへ移動できます。重要項目が未入力の場合は件数や項目を確認でき、未入力項目をクリックすると該当する入力欄へ移動します。

CRMの標準設定で必須になっている項目に加え、管理者が「入力してほしい重要項目」を指定できます。ただし、重要項目として表示することと、必須入力として保存を制限することは別です。必須にする項目は、CRM標準の項目設定で管理します。

強調色と、未保存のまま離れるときの警告

項目ごとの強調色を選び、ラベルの背景や外枠で目立たせることができます。「入力してほしい項目」「確認に使う項目」など、少数の重要な場所に絞ると、色の意味を共有しやすくなります。

未保存警告を有効にすると、変更を保存せず画面を離れる操作や再読み込みの際に、確認を促します。自動保存を行う機能ではないため、入力内容を確定するには通常の保存操作が必要です。ブラウザーの終了や障害による入力消失を、すべて防ぐことを保証するものではありません。

3.関連情報の自動入力:企業などを選び、必要な項目へ転記する

すでにCRMに登録されている住所や電話番号を、別の入力画面で打ち直す。関連情報の自動入力は、このような転記を補助する機能です。

管理者が、入力するモジュール、選択する関連項目、転記元モジュール、転記元と転記先の項目の対応を設定します。利用者が関連先を選択すると、設定した情報が入力欄へ反映されます。

項目マッピングの例顧客企業を選び、登録済みの情報を入力欄へ
転記元:選択した顧客企業
電話番号請求先の郵便番号請求先の住所

利用者が参照できる情報を取得

転記先:見積の入力画面
対応する電話番号項目請求先の郵便番号欄請求先の住所欄

対応する項目を管理者が設定し、確認後に通常保存

マッピングの考え方を示す例です。存在する項目と対応する型を確認して設定します。見積の商品明細の転記を示すものではありません。

3種類の上書き条件で、入力済みの値をどう扱うか決める

空欄のみまだ入力していない項目を補います。入力済みの値は保持します。
常に上書き設定した項目を転記元の値で更新する運用に使います。
確認して上書き既存値の変更を確認しながら反映します。

関連先を別の企業へ変更する際の確認や、「転記元が空欄なら転記先も空欄にする」という扱いも設定できます。関連先変更の確認を有効にしても、「空欄のみ」の設定が入力済み項目を上書きする動作に変わるわけではありません。

数値の0やチェックボックスのOFFは、単純な未入力とは区別されています。初期設定では実際の入力値を使い、残したい情報が上書きされないかを確認しましょう。

住所・連絡先に加え、業務用の注意事項にも活用できる

例えば、企業側に「対応上の注意事項」、問い合わせ側にその転記先項目があれば、項目の型と権限などの条件を満たす範囲で対応付けを設定できます。必要なカスタム項目は先に作成します。

設定画面には「担当者の住所」「見積の請求先」の設定例を追加する入口があり、ルールを一から作る際の補助になります。追加した設定例は、自社の実際の項目や上書き条件を確認して保存します。自動入力ルールの設定を書き出す・読み込む機能もあります。

自動入力と、継続的な同期は異なる

この機能は、関連先の選択などに応じて編集画面の入力欄を補うものです。反映した値は利用者が確認し、通常の保存で確定します。転記元の情報が後日変わったとき、過去に保存したすべての転記先を継続同期する機能ではありません。

4.選択候補の絞り込み:入力中の内容に合わせて、選びやすくする

関連項目に大量の候補が表示されると、探す手間が増えます。企業を選んだ後に担当者を選ぶ場合は、その企業に所属する担当者を候補にできると便利です。

選択候補の絞り込みでは、どの画面のどの参照項目に、どの候補を表示するかを設定します。候補側の項目を固定値と比較する方法と、入力中の項目の値と比較する方法があります。

固定条件と、入力中の値を使う条件

  • 固定条件の例:候補側に業務で使う区分項目がある場合、その値と一致する候補を表示する。
  • 入力値との比較例:問い合わせで選んだ企業と、候補となる顧客担当者の所属企業を比較する。

設定画面の「企業 → 担当者の設定例」は、問い合わせの画面で、選んだ企業に所属する担当者を表示する設定を作る補助です。参照関係や必要な項目があることを確認して利用します。

AND/OR、比較方法、並び順を設定できる

複数条件は「すべての条件に一致(AND)」または「いずれかの条件に一致(OR)」で組み合わせます。一致・不一致、未入力・入力済みなどが使え、文字列では「含む」「で始まる」、数値や日付などでは大小比較が使える範囲があります。利用できる比較方法は項目の型で変わります。

候補の表示順は、対応する項目の昇順・降順で設定できます。利用者側の候補画面でも、検索や対応する並び替えを使って対象を探せます。

連動元が空欄のとき、どう案内するかを決める

企業を選ばないまま担当者を探した場合などに、「先に企業を入力するよう案内して候補を出さない」か、「未入力の連動条件を省略する」かを選べます。

管理者が許可した場合は、利用者が絞り込みを解除して候補を表示することもできます。この「すべて表示」は、業務上の絞り込みを解除するもので、CRMの閲覧権限を超えたレコードを見せる意味ではありません。

候補の絞り込みは、アクセス制御とは分けて考える

この機能は、入力時の候補選びを補助します。閲覧できるレコードや項目の権限は、CRM側の権限に従います。表示候補を絞ることだけで、APIなど別経路も含めたすべての登録内容を制限できるとは考えないようにします。

また、連動元の企業を後で変更した場合は、すでに選んでいる担当者との組み合わせも確認しましょう。選択済みの値を常に自動修正する機能として運用しないことが大切です。

5.入力書式:電話番号・郵便番号・コードを決めた形に整える

入力書式では、対象の文字列・電話番号の入力欄に、決まった桁数や区切り文字を持つ書式を設定できます。全角英数字・記号の半角化、英字の大文字・小文字への統一も設定します。

プリセットと、独自の書式を使える

郵便番号、携帯電話、固定電話の市外局番の桁数別、フリーダイヤル、文字列項目用の日付表記、製品番号、顧客コードなどのプリセットがあります。独自の書式では、次の記号を使います。

書式の記号と、使い方の例
記号・書式意味・用途入力・表示の例
9数字1文字決めた桁数の数字を入れる
A英字1文字英字を含む製品番号など
*英数字1文字英字と数字が混在するコード
999-9999郵便番号1234567 → 123-4567
999-9999-9999携帯電話の書式例09012345678 → 090-1234-5678
AA-9999-AA製品番号の書式例ab1234cd → AB-1234-CD(大文字変換を設定)
C-999999固定文字と数字を組み合わせる例000123 → C-000123

ハイフンなどの固定文字を組み合わせられます。記号の9・A・*自体を固定文字として使う場合は、直前にバックスラッシュを付けます。書式は1〜128文字の範囲で設定します。

書式に合わない場合は、警告または保存停止を選ぶ

「警告のみ」は、書式の違いを知らせながら保存を許可する設定です。「保存を止める」は、対象の画面で書式に合わない入力の保存を止める設定です。警告文も項目に合わせて登録できます。

海外電話番号や内線などが混在する項目へ、一律の固定書式を強制すると業務を妨げる場合があります。まずは警告のみで実際の入力を確かめ、用途が明確な項目から制限する方法が考えられます。

管理画面の入力テストで、適用前に確かめる

管理者はテストする値を入れ、整形結果や書式との適合を確認できます。このテスト入力は顧客データとして保存されません。半角化・英字変換・桁数の扱いを、設定を公開する前に確かめられます。

書式の整形と、内容の正しさの判定は異なる

固定電話は、市外局番の桁数に合わせた書式を選びます。入力された番号の種類を自動で見分け、すべての電話番号を適切に区切る機能ではありません。

また、電話番号の実在確認や、日付の実在確認は行いません。「文字列項目用の日付表記」は文字の形をそろえるもので、Vtigerの標準日付項目を置き換えるものではありません。空欄の必須判定はCRM標準設定に従います。

この版では、標準の日付・日時・数値・ピックリスト・自動採番項目は入力書式の対象外です。APIやCSVインポートの値へ一律に適用する検証機能でもありません。

6.郵便番号からの住所入力:取得結果を、必要な住所欄へ反映する

管理者が対象の郵便番号欄と住所の反映先を設定すると、通常の新規作成・編集画面に「住所取得」が表示されます。利用者は郵便番号を入力して取得を実行し、住所を確認してから保存します。

都道府県・市区町村・町域を、分けてまたはまとめて反映する

反映する情報には、都道府県、市区町村、町域、市区町村+町域、都道府県+市区町村+町域を選べます。住所が分割された画面にも、一つの文字列欄へまとめる画面にも、対応する項目を指定して設定します。

顧客企業の請求先と送付先など、住所の役割ごとに設定を分けられます。都道府県が選択式の場合などは、取得結果と入力先の選択肢が一致するかも確認します。

複数候補の選択と、入力済みの住所への確認

同じ郵便番号に複数の候補がある場合は、候補を選択して反映します。反映方法は「空欄の項目だけ入力」または「入力済みの住所は確認して上書き」を選べます。

郵便番号から番地・建物名は取得できません。取得後に利用者が追記・確認します。すでに番地や建物名を含む住所欄を上書きすると、その部分も置き換わる可能性があるため、確認内容を見て判断します。

住所入力の流れ取得して終わりではなく、番地・建物名を確認して保存
  1. 1.郵便番号を入力7桁。全角数字やハイフン付きも取り扱い可能
  2. 2.住所取得候補が複数なら選択する
  3. 3.住所を確認反映先を確認し、番地・建物名を追記
  4. 4.通常保存入力欄の内容をレコードへ確定する
操作の流れを示す図です。外部サービスへの接続と、対象項目への設定が必要です。

外部サービスへの送信内容と、利用環境

この版は住所検索にzipcloudを利用し、検索処理では郵便番号を送信します。氏名・会社名・電話番号を検索データとして送信する構成ではありません。通信先には、接続に伴うサーバーのIPアドレスなども伝わります。

zipcloudの公式資料では、郵便番号から都道府県・市区町村・町域などを返す仕様が案内されています。[1]利用時には同サービスの利用規約を確認し、接続できない場合は手入力へ切り替えます。[2]サーバーにはPHP cURLと、zipcloudへのHTTPS接続が必要です。

7.5つの機能を組み合わせると、入力の流れがどう変わるか

IPInputAssistの特徴は、5つの入力支援を同じ業務の中で組み合わせて使えることです。例えば、問い合わせを登録する画面では、次のような組み合わせを検討できます。

設定例:問い合わせの新規登録

  1. 項目説明を読み、問い合わせの分類や次の対応の記入方法を確認する。
  2. 顧客企業を選び、その企業に所属する担当者へ候補を絞る。
  3. 関連先から、用意した項目へ連絡先や注意事項を転記する。
  4. 自動入力された電話番号にも、設定した入力書式を適用する。
  5. 住所を補う必要がある場合は郵便番号から取得し、番地を確認する。
  6. 重要項目の未入力を確認し、通常の保存で確定する。

これは機能を組み合わせた利用例です。必要な項目、参照関係、各機能の対象画面を確認して設定します。問い合わせの標準項目だけで、例のすべてがそのまま動くことを示すものではありません。

機能をつなぐ入力ガイドを参照しながら、選択・転記・確認を進める
  1. 候補を絞って選ぶ企業との関係や条件を確認
  2. 関連情報を補う設定した項目へ自動入力
  3. 書式を整える自動入力した値にも適用
  4. 未入力を確認重要項目を確認し、保存
機能を組み合わせる流れを説明する図です。住所取得は必要な場面で利用し、説明・入力例は各項目で参照します。

取得を待っている間の手入力を、遅れてきた応答で上書きしない

関連情報の自動入力や住所取得では、通信の完了を待つ間に、利用者が値を修正することがあります。IPInputAssistは、取得待ちの間に手入力や別の機能で値が変わった項目を、その応答で上書きしないように扱います。

また、自動入力と住所取得の選択・反映処理を順番に行う仕組みがあります。ただし、「常に自動入力を優先」「必ず住所取得を優先」といった業務上の優先順位を設定する機能ではありません。同じ住所欄を複数の機能で使うときは、空欄のみ・確認して上書きから始めると扱いを確認しやすくなります。

入力項目の説明やルールを相談するCRM管理者と業務担当者のイラスト
入力ルールを現場と管理者で相談するイメージです。AI生成イラストで、実際の製品画面や導入企業を表すものではありません。

8.管理者の設定手順:対象を絞って、現場で確認する

設定の入口は、CRM設定 → その他の設定(他の設定)→ 入力支援です。設定変更は管理者が行います。一般利用者は、管理者が設定した支援を業務画面で利用します。

設定の進め方最初は、困っている一つの画面から
  1. 対象業務と項目を決めるどの画面で、何を迷い、どこを転記しているかを整理する。
  2. 使う機能を選ぶ概要で状態を確認し、必要なメニューだけ有効化する。
  3. ルールを設定・保存する説明、項目の対応、候補条件、書式、住所の反映先を設定する。
  4. 再読み込みして実際の入力を確認権限の異なる利用者、既存値、例外の入力も確かめる。
導入を進めるための提案です。機能の対象はそれぞれの設定で指定します。

各機能の対象は、それぞれに設定する

入力ガイドで対象モジュールを選んでも、その選択が自動入力や入力書式など、残りの4機能すべてを制限する設定にはなりません。自動入力は自動入力のルール、住所入力は住所入力の設定で対象を指定します。

設定を保存したら、利用中の業務画面を開き直すか再読み込みします。別の管理者が先に設定を変更した場合、古い設定版からの保存を拒否する仕組みがあります。その場合は最新の設定を再読み込みし、必要な変更を確認して保存します。

説明文と、既存値を守るルールから始める

導入時には、入力例・説明文と、空欄への自動入力から始める方法があります。慣れてから候補の条件や書式を追加すると、どの設定が入力に影響したかを確認しやすくなります。

色や警告を増やしすぎると、重要な案内が埋もれることもあります。よくある質問、転記の多い項目、選び間違いが起こる関連項目から、優先順位を付けましょう。

9.利用できる画面と、導入前に確認したい範囲

5つの機能は適用範囲が同じではありません。特に、通常の編集画面とクイック作成、詳細画面からの項目編集は分けて確認します。

IPInputAssist 2.0.0の主な適用範囲
機能主な対象画面・操作確認する点
入力ガイド通常の新規作成・編集。詳細画面では項目説明クイック作成へすべてのガイドが出る構成ではない
関連情報の自動入力通常の新規作成・編集クイック作成・詳細の項目編集・一覧一括編集・商品明細は対象外
選択候補の絞り込み対応する編集・クイック作成の参照入力対象の参照項目と連動元が画面に存在すること。独自画面は個別確認
入力書式通常の新規作成・編集、クイック作成、詳細画面の項目編集対応する文字列・電話番号項目。標準の日付・数値などは対象外
住所入力通常の新規作成・編集クイック作成・詳細の項目編集・一覧一括編集は対象外

API、CSVインポート、顧客ポータルなど、すべての入力経路へ一律に5機能を適用するものではありません。サーバー側でも同じ入力制約が必要な場合は、その要件を別途確認します。

標準・カスタムモジュールは、項目の条件を確認する

入力ガイドの対象や各機能のルールは、対応する標準・カスタムモジュールから設定します。ただし、どのモジュール・どの項目でも無条件に選べるわけではありません。参照先の関係、項目の型、閲覧・編集権限、画面の構造に応じて利用できる範囲が決まります。

独自テンプレート、標準コアの改造、他社拡張、見積などの商品明細内の項目は、個別に動作を確認します。同じ項目に別の入力マスクを重ねる運用も避け、担当する機能を決めましょう。

既存データを一括で整形・補完する機能ではない

設定を保存しただけで、過去の電話番号が一括修正されたり、既存の住所がすべて補完されたりするわけではありません。IPInputAssistは、対象画面での入力操作を支援します。過去データの整理は、対象と変更方法を分けて計画します。

環境と検証の前提を確認する

紹介対象はOSS版VtigerCRM 8.4・標準v7レイアウトです。同梱資料ではPHP 8.2・8.3を想定しています。Vtigerのクラウド版へ同じZIPを導入する説明ではありません。

標準コアファイルの上書きやCronの追加を行わない構成です。住所取得にはPHP cURLと外部HTTPS接続が必要です。有効な機能と対象画面に応じて必要なファイルを読み込む構成です。実際の利用環境で、他の拡張機能との組み合わせも確認します。

同梱の検証資料では、模擬CRM・DOM環境などでの確認範囲と、実際のVtigerCRM/MySQLへの導入、実ブラウザー表示、外部住所API接続、他拡張との共存などの未検証範囲を区別しています。初回は、自社のテスト環境で入力・権限・上書き条件を確認してから導入します。

10.必要な機能だけを使い、入力ルールを育てる

入力支援は、機能の数を増やすこと自体が目的ではありません。自社で迷いやすい項目、転記が多い項目、選び間違いが起こる候補を整理し、その作業に合う支援を選びます。

機能単位・ルール単位で、使う範囲を選ぶ

入力ガイドの説明だけを使う、関連先の自動入力を特定のモジュールで使う、電話番号の書式だけを設定するなど、必要な範囲から利用できます。自動入力・候補の絞り込み・入力書式・住所入力には、ルールや設定ごとの有効・無効もあります。

必要な機能だけ停止したい場合は、その設定メニューで無効にして保存し、業務画面を再読み込みします。IPInputAssist全体を一時停止する場合は、モジュール管理で無効にします。一時的な無効化では設定を保持します。

現場で起こる質問や例外を、設定の改善に使う

説明を読んでも記入に迷うなら入力例を具体化し、候補が多すぎるなら条件を見直します。書式の警告が頻繁に出る場合は、実際の入力内容と用途に合っているかを確認します。管理者と利用者が相談しながら、支援の内容を調整していきましょう。

IPInputAssistをアンインストールすると、専用設定が削除されます。一時的に支援を止める場合は、機能の無効化を使い分けます。

11.IPInputAssistについて、よくある質問

プログラミングをせずに設定できますか?

紹介した入力例、説明、項目の対応、候補条件、書式、住所の反映先は、管理者用の画面から設定します。必要な項目や関連関係を用意し、対象画面と権限を確認する作業は必要です。独自の対象画面や未対応処理への拡張は個別に検討します。

5つの機能を、すべて有効にする必要がありますか?

ありません。各機能を個別に有効・無効へ切り替えます。自動入力や入力書式などは、ルール単位の有効・無効も設定できます。

重要項目にすると、未入力では保存できなくなりますか?

重要項目の確認表示と、必須入力は別です。必須の指定はCRM標準の設定で行います。入力書式の「保存を止める」も、対応する画面で指定書式への適合を扱う設定です。

自動入力した情報は、その時点で保存されますか?

関連情報の自動入力と住所取得は、入力欄へ値を反映します。内容を確認し、通常の保存操作で確定します。入力ガイドの未保存警告は自動保存ではありません。

電話番号や住所の正しさを、すべて自動で判定できますか?

電話番号の書式は文字の形を整えるもので、実在を確認しません。住所取得も郵便番号からの候補を反映する補助です。番地・建物名や顧客が指定する送付先は、利用者が確認します。

入力ガイドと、条件による項目表示の切り替えは同じですか?

IPInputAssistの入力ガイドは、説明・記入例・強調・未入力確認などを扱います。「この値のときだけ別の項目を表示する」といった条件付きレイアウトの設計とは役割が異なります。必要に応じて、他の機能との組み合わせを確認します。

まとめ|入力のルールを、現場で使える支援に変える

IPInputAssistは、入力ガイド、関連情報の自動入力、選択候補の絞り込み、入力書式、住所入力の5つの機能を備えています。入力の迷い、再入力、候補探し、表記の違いといった課題に、管理画面から設定した支援を加えられます。

vtplusで業務に合う仕組みを考える際には、入力する項目と、入力するときの案内・選択・確認を合わせて設計することが大切です。まずは「よく質問される項目」「繰り返し転記している内容」「選び間違いが起こる候補」を一つずつ整理してみてください。