料金・仕様の確認日:2026年10月19日

中小企業がCRMを選ぶときは、月額料金の安さに加えて、今の業務に合うか、担当者が使い続けられるか、管理や保守を誰が担うかを比較することが大切です。

顧客や商談を共有したい会社と、問い合わせから受注後の対応までつなげたい会社では、必要な機能も予算も変わります。まずは改善したい業務を一つ決め、その業務に必要なプラン・設定・支援まで含めて比べましょう。

この記事では、Vtiger、Salesforce、HubSpot、Zoho CRM、kintoneを取り上げ、費用、特徴、導入前に確認したい点を整理します。Excelでの顧客管理から移行する場合にも役立つ選定手順を紹介します。

1.中小企業向けCRM比較|5製品の特徴を一覧で確認

最初に、製品の位置付けを押さえましょう。下表の「候補にする場面」は、本記事の選定上の目安です。どの会社にも同じ製品をおすすめするものではなく、必要な機能と運用体制を照らし合わせて使います。

5製品の位置付けと検討の目安
製品・比較対象候補にする場面導入前に確認すること
Vtiger
オープンソース版
自社業務に合わせた改修や、運用環境の選択を重視したい構築・更新・バックアップの担当と、改修後の保守体制[1]
Salesforce営業活動の管理を軸に、将来の業務拡張も検討したい必要な自動化・連携を使えるプランと、設定を管理する体制[2]
HubSpot顧客情報を基盤に、営業とマーケティングの情報をつなげたい必要なHub、シートの種類、機能追加時の契約条件[3][4]
Zoho CRM標準的な営業管理から始め、必要な機能に応じてプランを選びたい自動化・分析・AIなどの機能範囲と利用上限[5]
kintone顧客管理に加え、自社の申請や案件管理もアプリで整えたいアプリ設計の担当、最低契約人数、連携に必要なコース[7][8]

たとえば「商談の進捗と次回の対応日を共有する」が目的なら、まず顧客・商談・活動の基本操作を試します。「受注後の独自業務まで管理する」が目的なら、関連データの設計と追加開発の範囲も確認します。製品名を決める前に、比較する仕事をそろえることが重要です。

2.CRMを選ぶ前に決めたい3つの条件

比較の出発点業務・利用者・運用体制を先にそろえる
何を改善するか顧客情報の共有
商談の進捗確認
対応漏れの防止
誰が使うか入力する担当者
確認する管理者
閲覧する他部門
誰が管理するか項目・権限の設定
利用者への説明
障害・変更への対応
この条件で、必要な機能とプランを決める比較する人数と業務範囲がそろうと、見積もりの差を説明しやすくなります。

必須機能は「業務が止まる条件」から決める

「できると便利」な機能をすべて必須にすると、費用や導入作業が増えます。最初は「顧客に複数の商談をひも付ける」「担当者が次回対応日を登録する」「管理者が未対応案件を確認する」など、日々の仕事を成立させる条件を具体的に書き出します。

項目名の変更だけで対応できるのか、関連データや承認手順まで変える必要があるのかも区別しましょう。同じ「カスタマイズ」という言葉でも、必要な作業は大きく異なります。

クラウド型でも、社内の運用担当は必要

サービス提供者が基盤を運用するクラウド型でも、入力ルール、権限、項目の変更、退職者のアカウント管理などは社内で決める必要があります。オープンソース版を自社環境で動かす場合は、さらにサーバーやソフトウェアの更新、復旧手順などを自社または委託先が担います。

運用体制を比較「誰が担当するか」を見積もりに含める
クラウドサービスを利用
基盤の運用範囲を契約で確認

社内では、利用者・権限・データ・業務ルールを管理。設定支援や追加連携の担当も決めます。

オープンソース版を構築
自社または委託先で基盤を運用

業務ルールに加えて、サーバー、更新、バックアップ、障害対応の責任範囲を決めます。

運用の一般的な整理です。実際の責任範囲はサービス・保守契約によって異なります。

3.CRMの料金比較|単価と契約条件をセットで確認

以下は、各社の公式公開情報で確認した料金例です。同じ機能をそろえた見積もりではありません。入門プランでできることと、上位プランや追加契約が必要なことを分けて確認してください。

公式掲載価格の例(2026年10月19日確認・有料サービスは税別)
製品・プラン例掲載価格契約・費用上の注意
Vtiger
オープンソース版
ソフトウェアのライセンス料:0円サーバー、構築、移行、改修、保守は別途。Vtigerクラウド版・vtplusのサービス料金とは異なる[1]
Salesforce
Starter Suite
3,000円/ユーザー/月月単位または年単位。Pro Suiteは12,000円/ユーザー/月、年間契約。必要機能でプランを確認[2][9]
HubSpot
Sales Hub Starter
2,400円~/シート/月公式カタログの掲載価格。契約期間・支払方法・割引・シート種別を確認。上位プランは導入支援費用も確認[4]
Zoho CRM
スタンダード
1,760円/ユーザー/月年間契約時の月額換算。契約期間と必要機能により料金が変わる[5][6]
kintone
ライト/スタンダード
ライト:1,000円
スタンダード:1,800円

/ユーザー/月
いずれも最低10ユーザー。外部サービス連携・プラグインを使う場合はスタンダード以上を検討[7]

価格・仕様は変更される場合があります。期間限定キャンペーンによる割引は上表に反映していません。追加サービス、連携先の契約、利用量に応じた費用などは別途発生し得ます。正式な金額は利用条件を伝えたうえで各社・提供会社へ確認してください。

少人数で使う場合は、最低契約人数も確認する

1人あたりの単価だけでは、実際に支払う金額は分かりません。たとえばkintoneのスタンダードコースを5人で使う場合でも、最低10ユーザー分の契約となるため、基本利用料は月額18,000円(税別)です。これは1,800円×10ユーザーの計算で、構築や連携などの費用は含みません。[7]

一方、製品によっては入力する人、閲覧する人、特定機能を使う人で必要な契約が異なります。見積もりを依頼するときは、全社員数だけでなく、それぞれの役割と人数を伝えましょう。

4.5製品の特徴と、導入前に確認したいこと

Vtiger|オープンソース版を基盤に業務へ合わせる

Vtigerのオープンソース版は、顧客・商談管理に加え、問い合わせ対応などの機能を備え、ソースコードを利用した改修を検討できます。クラウド版とは提供形態や機能が異なるため、比較する版を明確にしましょう。[1]

候補にしたい場面:既存業務に合わせた変更やシステム連携が必要で、構築・保守を担う社内担当または支援会社を確保できる場合です。

確認したい点:改修内容の記録、更新時の検証、バックアップからの復旧、保守終了時の引き継ぎを確認します。vtplusを検討する場合も、標準機能、追加開発、提供環境、保守の範囲を個別に確認してください。ライセンス料が無料でも、運用全体が無料になるわけではありません。

Salesforce|営業管理を起点に拡張範囲を検討する

Salesforceは、リード、顧客、商談などを管理する機能を提供しています。Starter SuiteとPro Suiteでも、自動化やカスタマイズなどの利用範囲が異なります。必要機能をプラン別に確認することが重要です。[2]

候補にしたい場面:営業活動の管理を整え、組織の成長に合わせた業務拡張も考えたい場合です。

確認したい点:承認、外部連携、帳票などの要件を、どのプランと追加サービスで実現するのかを確認します。設定を増やすほど管理作業も発生するため、日常の設定担当と変更時の相談先を決めておきましょう。

HubSpot|営業とマーケティングの情報をつなげる

HubSpotはCRMを基盤に、営業やマーケティングなどの製品を提供しています。Sales Hubだけを使う場合と、複数のHubを組み合わせる場合を分けて検討できます。[3]

候補にしたい場面:Webから得た見込み客の情報と、営業担当者の対応をつなげて管理したい場合です。

確認したい点:必要な機能に対応するHub、エディション、シートを確認します。上位プランの導入支援費用や、Marketing Hubも使う場合のコンタクト関連の条件など、人数以外の費用条件も見積もりに含めましょう。[4]

Zoho CRM|必要な営業機能に合わせてプランを選ぶ

Zoho CRMは複数の有料プランを設け、営業管理、自動化、分析などの機能を提供しています。プランによって使える機能と上限が異なり、AI機能も同じ条件ではありません。[5]

候補にしたい場面:顧客・商談管理を中心に始め、必要な機能と価格のバランスを確認しながら導入したい場合です。

確認したい点:承認や業務プロセスの制御、必要な自動化が、候補のプランで使えるかを確認します。他のZoho製品も使う場合は、CRM単体の契約に何が含まれ、別途どの契約が必要かを整理しましょう。

kintone|顧客管理を自社の業務アプリとして整える

kintoneは、顧客管理や案件管理などのアプリを作成して利用するサービスです。テンプレートを起点に、自社の項目や業務に合わせて設計できます。完成したCRMの機能をそのまま採用する場合とは、導入作業の内容が異なります。[8]

候補にしたい場面:顧客・案件管理に加えて、申請や作業管理などの社内業務も自分たちで整えたい場合です。

確認したい点:顧客と案件の関係、入力ルール、集計方法を設計する担当を決めます。必要に応じてプラグインや外部サービスの費用も加算します。最低契約人数と、連携に対応するコースも確認しましょう。[7]

担当者が業務要件の資料を持ち寄り、CRMの導入候補を検討するイメージ
入力担当者と管理者が同じ業務シナリオで確認すると、必要な機能を絞りやすくなります。画像はイメージです。

5.外部連携・AI・カスタマイズは「できる方法」まで比較する

機能一覧に「連携可能」「AI対応」と書かれていても、自社が行いたいことを実現できるとは限りません。標準機能なのか、上位プランなのか、外部サービスや開発が必要なのかを確認します。

製品名によらず、同じ条件で質問したいこと
比較項目具体的な確認内容
Outlook・Teamsなどの連携メール・予定・通知のどれが対象か。片方向か双方向か。更新のタイミング、権限、失敗時の確認方法はどうなるか
基幹システムとの連携取引先・商品・受注のどの情報を渡すか。APIの利用条件、連携回数、追加サービスと保守の費用はどうなるか
AIの利用要約、文章作成、予測など、どの作業に使うか。対応言語、対象データ、利用量の上限、課金単位、人による確認方法はどうなるか
カスタマイズ設定だけで実現するか、コードや追加製品が必要か。変更記録、検証環境、更新後の動作確認を誰が担当するか

たとえば「Outlook連携が必要」という要望は、「送信したメールを顧客の履歴として共有したい」のか、「予定表を同期したい」のかで確認項目が変わります。連携したい製品名に加え、情報の種類と更新方向まで伝えると、見積もりの抜けを減らせます。

AIも同様です。「AIが付いているから選ぶ」より、「商談メモの要約に使う」などの用途を決め、その用途に必要な契約とデータの扱いを確認しましょう。実際の業務に使う前に、出力の確認担当と修正方法も決めます。

6.CRMの費用は、導入から運用・変更まで含めて比較する

見積もりは、同じ人数・期間・業務範囲でそろえます。初期費用が小さくても、人数の増加、機能追加、保守や連携で費用が変わることがあります。3年間などの共通期間を設けると、費用が発生するタイミングを比較しやすくなります。

総費用の考え方見積もりは3つの箱に分ける
導入時の費用

業務整理・初期設定
データ整理・移行
開発・研修

継続する費用

ライセンス・サーバー
連携・追加サービス
保守・管理作業

変更時の費用

利用者・機能の追加
改修・再研修
データ出力・移行

外部への支払いと、社内担当者の作業時間を分けて記録します。上記は見積項目の例で、全製品に同じ費用が発生するという意味ではありません。

Excelからの移行は、データ整理も作業範囲に入れる

ファイルを取り込めることと、すぐに業務で使えることは別です。会社名の重複、担当者の割り当て、商談と顧客の関連、添付資料の移し方を確認します。データ整備を自社で行うか、導入支援へ依頼するかで必要な工数が変わります。

将来の変更と、使い終えるときの条件も確認する

契約更新、人数の増減、データの出力形式、添付資料の取り出し方、解約後の参照可否を確認します。独自の開発を依頼する場合は、仕様書やソースコードなどの成果物、改修を引き継げる条件も見積もり段階で確認しておきましょう。

7.使いやすさは、同じ業務を試して判断する

画面の見た目だけでは、日々の入力負担は分かりません。候補を2〜3製品に絞り、実際に使う担当者と管理者で同じ操作を試します。試験には架空のデータや、社内で利用を認められたデータを使いましょう。

共通の試験シナリオ顧客を探して、次の対応を共有する
  1. 1.顧客を探す会社名・担当者名から、必要な情報へたどり着く
  2. 2.商談を確認進捗と過去のやり取りを確認する
  3. 3.対応を記録今回の内容と、次回の対応日を登録する
  4. 4.担当間で共有別の担当者が、状況と次の行動を確認する
本記事で実施した検証結果ではなく、選定時に使う試験手順の提案です。

試験後は、入力の手間、情報を探す時間、迷った操作、追加設定が必要だった点を記録します。外出先で使う場合はスマートフォンでも試し、管理者は一覧やレポートで必要な状況を確認できるかを見ます。

「できた・できなかった」に加え、どのプランで、どんな設定をすればできたかを残しましょう。試用環境の機能が、そのまま契約予定のプランに含まれるとは限りません。

8.中小企業のCRM選定を進める5つのステップ

導入までの進め方要件を決め、小さく試してから広げる
  1. 困っている業務を一つ選ぶ誰が、どこで、何に困っているかを具体的に記録します。
  2. 必須条件と比較条件を決める機能、人数、権限、連携、管理体制、比較期間をそろえます。
  3. 候補を絞り、同じ業務で試す入力担当者と管理者で、操作と情報の引き継ぎを確認します。
  4. 総費用と支援範囲を確認する移行、教育、保守、変更対応まで含めた見積もりを比較します。
  5. 対象を絞って運用を開始する一部チームや業務から始め、入力負担と改善状況を見て広げます。

導入後の評価項目も先に決めておきます。たとえば「次回対応日が未登録の商談数」「会議資料の準備時間」「顧客情報を探す手間」などです。導入前後で同じ対象・数え方を使い、CRMの入力作業が増えた分も含めて見直しましょう。

9.中小企業のCRM比較でよくある質問

中小企業には、結局どのCRMがおすすめですか?

改善したい業務と、運用を担える体制によって変わります。営業管理、営業とマーケティングの連携、独自業務への対応のどれを重視するかを決め、本記事の比較表から候補を絞ってください。最終的には同じ業務の試験と、同じ条件の見積もりで判断します。

無料のCRMから始めてもよいですか?

必要な人数・機能・データ量を満たすなら、業務との相性を確かめる方法の一つです。ただし、無料版や無料体験の制限、有料化が必要になる条件、データを移せる範囲を先に確認します。無料版の機能と有料版の機能を混同しないことが大切です。

Vtigerは無料で導入できますか?

オープンソース版のソフトウェア利用と、導入・運用サービスの費用は分けて考えます。サーバー、設定、移行、改修、保守などが必要になるため、vtplusなどの支援サービスを利用する場合は、その範囲に応じた見積もりを確認してください。[1]

kintoneはCRMと同じものですか?

kintoneは業務アプリを作成して使う基盤で、顧客管理や案件管理にも活用できます。CRMとして使う場合は、必要なデータの関係や業務の流れをアプリとして設計することを前提に比較します。[8]

ExcelとCRMを併用できますか?

顧客情報の正本はCRMに置き、分析や一時的な作業にExcelを使う方法があります。両方で自由に更新すると差分が生まれるため、何をどちらで更新し、どう戻すかを決めておきましょう。

10.まとめ|自社の業務を続けられるCRMを選ぶ

中小企業のCRM選びでは、製品の多機能さや表示価格だけでなく、業務への適合、入力のしやすさ、運用体制、導入後の費用を確認することが大切です。

まずは一つの業務を題材に候補を比較し、必要なプランと支援範囲を具体化しましょう。担当者が使い続けられ、顧客対応や情報共有に役立つ仕組みになっているかを確かめてから、対象を広げると進めやすくなります。

参考情報・公式サイト

参照日:2026年10月19日。料金や提供条件は更新されるため、申込時は各社の最新情報・見積書を確認してください。

  1. Vtiger:Open Source CRM(オープンソース版の機能・費用の考え方)
  2. Salesforce:営業支援・CRMの価格(Starter Suite・Pro Suiteの料金と機能)
  3. HubSpot:CRM製品紹介(CRMと製品構成)
  4. HubSpot:製品・サービスカタログ(Sales Hubの料金、シート、導入支援費用)
  5. Zoho CRM:料金・機能比較
  6. Zoho CRM:よくある質問(年間契約時の料金条件)
  7. kintone:料金(コース、最低契約人数、連携)
  8. kintone:顧客管理・案件管理
  9. Salesforce:料金プランの解説(Starter Suite・Pro Suiteの税別表示の確認。料金・プラン構成は[2]を優先)