「商談の準備やメール作成に追われて、お客様と話す時間が取れない」。そんなとき、ChatGPTは営業の情報整理や文章の下書きを手伝う道具として活用できます。

始めやすいのは、商談準備、フォローメール、商談メモの整理、提案書の構成、商談練習の5つです。自社で確認した資料を渡し、必要な形式で案を作り、人が確認して業務に使う流れを整えます。

この記事では、中小企業の営業担当者・営業責任者に向けて、コピーして使えるプロンプト例と、CRMに情報を残す方法、無理なく試す手順を紹介します。

1.ChatGPTは、営業のどんな作業に使える?

営業には、調べる、考える、説明する、記録するといった作業があります。まずは、材料となる文章があり、完成形を人が判断できる作業を選ぶと、使い方を検討しやすくなります。

営業で試しやすい5つの使い方
作業ChatGPTに依頼すること人が確かめること
商談準備資料の整理、課題の仮説、質問案事実の根拠、仮説と事実の区別
フォローメール商談メモをもとにした下書き宛先、合意内容、次の行動、表現
商談メモ整理要望・未確認事項・次回対応の分類発言の意味、担当者、期限
提案書作成承認済み資料からの構成案提供範囲、価格、実績、効果の根拠
商談練習顧客役との対話、返答への講評自社の方針との整合性、実務での使いやすさ

AI営業支援を考えるときは、どの作業の、どの段階を任せるかを具体化しましょう。例えば「メール対応を任せる」より、「合意済みの内容からお礼メールの下書きを作る」と決めるほうが、確認する範囲を明確にできます。

資料とノートを見ながら商談準備を進める営業担当者のイラスト
資料を整理して商談の準備に使うイメージです。AI生成イラストで、実際の利用画面や導入事例ではありません。

「案を作る」と「業務を実行する」を分ける

ChatGPTが文章を作った後にも、顧客に送る、CRMへ登録する、期限を確定するといった工程があります。最初は人が内容を確認して実行し、出力の品質や作業時間を把握しましょう。

日々の使い方材料から、確認済みの営業情報へ
  1. 1.資料を用意利用できるメモや資料を必要な範囲で渡す
  2. 2.案を作成目的と出力形式を伝えて整理・下書きを依頼
  3. 3.人が確認原文と照合し、誤りや不足を修正
  4. 4.業務に利用確認後にメール送信やCRM登録を行う
本記事で提案する基本フローです。文章を生成するだけで、送信やCRM更新が自動的に行われるわけではありません。

2.ChatGPTを営業に活用する5つのプロンプト例

次の例の【】内を自社の状況に置き換えて使います。資料の持ち込みが認められていない場合は、架空の情報や公開情報を使って、出力形式を先に試してください。

① 商談準備|資料から質問と確認事項を作る

会社案内や自社で確認した企業情報をもとに、商談で聞くことを整理します。相手の課題を決め付けず、仮説を質問に変える使い方です。

あなたは法人営業の商談準備を支援する担当者です。
以下の資料だけを使って、初回商談の準備メモを作ってください。

【商談の目的】ここに目的を記入
【自社の提案できる内容】ここに承認済みの説明を記入
【相手企業について確認済みの資料】ここに出典・確認日と本文を記入

出力は次の4項目に分けてください。
1. 資料から確認できる事実(根拠となる箇所を併記)
2. 課題の仮説(事実と分けて記載)
3. 商談で確かめたい質問5つ(優先順)
4. 準備に不足している情報

資料にない業績、予算、決裁者、競合の利用状況は推測で埋めないでください。

出力を受け取ったら、「確認できる事実」に根拠があるかを見ます。外部の最新情報も調べる場合は、検索が使える環境で出典URLと日付を示すよう依頼し、重要な内容は元のページを確認します。企業名だけを伝えて、最新情報まで確認済みだと考えないようにしましょう。

② フォローメール|合意した内容をわかりやすく伝える

面談後のお礼、追加資料の案内、次回確認事項などを下書きにします。メールに入れたい内容と、まだ決まっていない内容を整理して渡します。

以下の商談メモをもとに、お礼と次回確認事項を伝えるメールの下書きを作ってください。

【宛先・差出人】ここに必要な情報を記入
【商談メモ】ここに共有が認められたメモを記入
【確定している次の行動】ここに記入
【希望する文体】丁寧で簡潔。強引な提案はしない

件名と400字以内の本文、送信前の確認点を出力してください。
決まっていない価格、日程、納期、約束を追加しないでください。
必要な情報が欠けている場合は本文に【要確認】と示し、末尾に一覧にしてください。
メールは送信せず、下書きだけを作ってください。

「【要確認】」が残ったまま送信しないよう、送信前に情報を補います。自社だけが提案した日程を、相手も了承した日程として書いていないかも確認しましょう。

③ 商談メモ整理|CRMに残す項目をそろえる

長いメモから、顧客の要望、次の行動、未確認事項を整理します。CRMの項目名と出力項目を合わせておくと、確認後の転記に使いやすくなります。

以下の商談メモを、CRMに登録するための確認用の表に整理してください。

【商談メモ】ここに共有が認められたメモを記入

項目:顧客の要望/確認できた事実/未確認事項/次の行動/担当者/期限
各項目に根拠となる原文も付けてください。
記載がない情報は「未確認」とし、推測で補わないでください。
「来週」などの相対的な期限はそのまま残し、具体日を確認する必要があると示してください。
見積希望を受注や契約合意に読み替えないでください。
顧客の発言と自社の提案・仮説が混ざる場合は分けてください。
CRMへの書き込みは行わず、確認用の候補だけを出力してください。

整理のイメージ:説明用の架空例

入力メモ:「A社は見積を希望。必要台数は未確定。担当営業が来週連絡。」

このメモからは、下表のように、書かれている内容と未確定の内容を分けます。表は考え方を示すための編集例で、ChatGPTの実行結果ではありません。

未確定の情報を、確定した値に変えない
項目記録する候補確認が必要なこと
顧客の要望見積を希望見積の対象・条件
必要台数未確認(原文では未確定)見積前に確認する台数
次の行動連絡連絡で確認する内容
担当者担当営業。氏名は未確認実際の担当者
期限来週。具体日は未確認基準日と具体的な連絡日

日付型の項目に「来週」を入れることはできません。人が具体日を確認してから登録し、それまでは未確認事項として残します。見積の希望だけを根拠に、受注済みへ変更することもしません。

④ 提案書の構成|顧客課題と提案内容をつなぐ

自社の承認済みサービス資料と、商談で確認した課題を使って、提案書の章立てを考えます。資料を読む順番や説明の不足を見つける用途にも使えます。

以下の資料から、法人向け提案書の構成案を作ってください。

【読者と提案の目的】ここに記入
【確認済みの顧客課題】ここに記入
【自社の承認済みサービス資料】ここに記入
【制約条件】ここに予算・時期など、確認できた条件を記入

出力:章立て/各章で伝えること/使う資料の根拠/追加確認が必要なこと
確認済みの事実と提案上の仮説を分けてください。
資料にない実績、導入効果、価格、競合比較は作らないでください。
費用対効果を示すには何の数値が必要か、未確認の項目を挙げてください。

構成案ができたら、各章に使う根拠を確認します。「工数を半減」「売上が増える」といった表現が出ても、自社で示せる根拠がなければ採用しません。試算する場合は、作業量や単価などの前提条件を明記します。

⑤ 商談のロールプレイ|返答を練習する

「価格が高い」「今の方法で困っていない」など、よくある反応への返答を練習します。顧客役の設定は練習用とし、実際の顧客の気持ちを正確に予測したものとして扱わないようにします。

法人営業の商談練習に付き合ってください。

【提案するサービス】ここに承認済みの説明を記入
【顧客役の設定】既存の管理方法を変える必要性をまだ感じていない担当者
【練習する場面】「価格が高い」と言われたときの確認と応答

あなたは顧客役です。まず一つだけ発言し、私の返答を待ってください。
やり取りを3往復したら、私の返答について、
相手の懸念の確認/根拠のある説明/次の合意の明確さの3点で講評してください。
改善例を一つ示してください。
不明な値引き、成果保証、架空の導入実績で説得しないでください。

講評を受けたら、自社の責任者や同僚とも返答を確認します。AIの評価だけで営業担当者の能力を判定せず、質問の仕方や説明の改善に使いましょう。

3.回答を使いやすくする、プロンプトの4つの要素

OpenAIの公式ガイドでは、依頼を伝える際の要素として、目的、文脈、出力、守る条件を挙げています。必要な要素を足していく考え方で、毎回すべてを埋める決まった書式ではありません。[1]

営業での指示例必要な情報を、4つの観点で整理する
目的誰に、何を伝えるか
例:商談後の確認メール
材料・文脈何を根拠にするか
例:確認済みの商談メモ
出力形式どの形で受け取るか
例:件名+本文400字以内
守る条件何を追加・変更しないか
例:未確定の日程を作らない
公式ガイドの考え方をもとに、営業向けの例として編集しています。

最初の回答を見て、指示を調整する

期待と違う場合は、「確認事項を先に」「専門用語を説明して」「この箇所は合意していないので修正して」と具体的に伝えます。長さや文体は調整しやすい一方で、根拠のない内容は文章を整えるだけでは解消しません。必要な資料を追加するか、不明として扱います。

うまく使えた指示は、目的、入力する項目、確認点と一緒に社内のひな型へまとめます。顧客名や過去の契約条件を残したまま共有せず、次の案件で置き換える箇所を明確にしておきましょう。

4.ChatGPTとCRMを組み合わせる方法

ChatGPTで作った内容を営業の次の行動につなげるには、顧客や商談にひも付けて残すことが大切です。担当者のチャットにだけ情報が残ると、引き継ぐ人が経緯を確認しにくくなります。

営業での主な役割を分ける
観点ChatGPTの活用例CRMで整えること
情報の扱い渡された資料の整理、下書きの作成顧客・商談・対応履歴を関連付けて管理
次の対応メモから行動の候補を抽出担当者・具体的な期限・状態を登録
共有用途や読者に合わせた要約案権限と入力ルールに沿った社内共有
確認の手掛かり原文や根拠の箇所を併記必要に応じて元メモや確認日を残す

例えば、商談メモを整理した後に、営業担当者が内容を確認し、CRMの要望・次回対応・未確認事項へ登録します。次の商談準備では、権限のある最新の履歴を材料として使う流れにできます。

手動で試してから、連携する範囲を決める

段階的な整備出力と確認方法が決まってから、連携へ進む
手動で試す必要なメモを渡し
出力を確認して転記
ひな型をそろえるCRMの項目名と
入力・確認ルールを統一
連携を設計する対象データ・権限
承認・記録・失敗時対応を決定
導入を考えるための段階です。VtigerCRMなどの特定製品に、すべて標準搭載されていることを示す図ではありません。

OpenAIの公式資料にも、接続した業務サービスから情報を集めて商談準備を行う例があります。利用には、対応する環境と接続、権限の設定が前提になります。[2]自社のCRMへそのまま適用できるかは、別途確認が必要です。

VtigerCRMを含むCRMとの連携を検討する場合は、どの情報を読み取り、どの項目へ書き込むかを具体化します。書き込み前の承認、重複登録の防止、失敗時の通知や再実行も検討します。利用環境に応じて、外部サービスやAPIの利用、開発・保守に必要な費用を確認しましょう。

5.営業で使う前に、入力と出力の確認方法を決める

入力は、会社の利用ルールに合わせる

顧客の連絡先、契約条件、未公開の商談資料などは、会社が利用を認めた環境と範囲で扱います。会社名をA社にする、個人名を役割名に変えるなど、内容の整理に不要な情報は省く方法があります。

情報の利用や保存に関する条件は、契約・設定・接続先によって確認する必要があります。個人用アカウントと会社で管理する環境を同じ条件だと考えず、実際に使う環境の案内に沿って運用します。

出力は、元の資料と照合する

文章が自然でも、社名、数字、日時、合意内容などが正しいとは限りません。プロンプトで推測を避けるよう依頼しても、人による照合は必要です。

  • 事実:元の資料にない実績・価格・顧客の意向が追加されていないか。
  • 約束:自社が提案しただけの内容を、双方の合意として書いていないか。
  • 行動:担当者と期限が確認できているか。不明点が残っていないか。
  • 共有範囲:別の顧客情報や社内向けの記述が混ざっていないか。

メールは送信前に、CRMへの記録は登録前に確認する工程を置きます。確認した人や元メモの置き場所もそろえておくと、後から経緯を追いやすくなります。

6.中小企業が小さく導入し、効果を測る手順

最初から営業全体を自動化しようとせず、頻度が高く、確認基準を決めやすい作業を一つ選びます。例えば「商談後のお礼メールの下書き」から始め、同じ種類の作業で比べます。

最初の試行一つの作業で、使い方と効果を確かめる
  1. 対象と完成条件を決める例:合意内容と次回確認事項を伝えるお礼メール。送信前に担当者が確認する。
  2. 今の作業を記録する入力資料の準備から確認・送信までの時間と、修正点を記録する。
  3. 同じ条件で試すプロンプトを使い、出力の確認・修正・転記も含めて時間を測る。
  4. 続ける範囲を決める時間と品質を比べ、ひな型を直す。確認負担が大きい作業は使い方を見直す。
試行方法の提案例です。必要な期間や対象件数は、業務の頻度と内容に合わせて決めます。

生成時間だけで、効率化を判断しない

測る対象は、資料の準備、指示の入力、生成、確認・修正、CRMなどへの記録までの合計です。文章が速く出ても、直す時間が増えていれば、業務全体では時間を減らせていない場合があります。

完成した文章の正確さ、必要事項の漏れ、修正の内容も一緒に残します。単純な作業と複雑な作業を分けて比べ、向いている用途から社内に広げましょう。

共有するひな型には、確認点も付ける

使う人によって結果の確認がばらつかないよう、プロンプトだけでなく、入力する資料、出力項目、送信・登録前に見る点をセットにします。サービス内容や営業ルールが変わったときは、ひな型も更新します。

7.ChatGPTの営業活用でよくある質問

営業の経験が少なくても使えますか?

質問案や文章の下書きから試せます。商品の説明や商談の判断には、自社の承認済み資料と責任者の確認を組み合わせましょう。出力を読むために必要な商品知識も身に付けていくことが大切です。

無料で始められますか?

試す際は、利用できる機能・上限と、会社で認められる利用環境を確認してください。プランの金額だけで判断せず、必要な機能、管理方法、作業時間に対して、継続利用に適しているかを検討します。

ChatGPTだけで、顧客管理もできますか?

メモの整理や要約には活用できます。担当・期限・商談の状態を継続して共有するには、CRMなどの管理先と更新ルールを決める方法があります。チャットで出た内容を、そのまま会社の確定した顧客情報として扱わないようにします。

CRMとの連携は、最初から必要ですか?

まずは手動で出力を確認して記録する方法から始められます。量が増えて転記が負担になり、出力項目と確認方法が固まってから、利用環境に合う連携を検討しましょう。

売上が増える効果はありますか?

文章作成や情報整理に使えても、それだけで売上の増加が保証されるわけではありません。まずは対象業務の時間と品質を測り、その後、商談の準備状況や対応の実施状況など、自社で追える指標で確かめます。

8.まとめ|ChatGPTを、日々の営業の流れにつなげよう

ChatGPTの営業活用は、目的と材料をそろえ、案を作り、人が確認して業務に使う流れから始められます。商談準備やメールの下書きなど、効果を確かめやすい作業を一つ選びましょう。

整理した情報をCRMに残せば、次の行動や担当者への引き継ぎにもつなげられます。AIへの指示と、顧客情報の項目・更新ルールを一緒に整えることが、使い続けるための土台になります。

参考資料

  1. OpenAI:Prompting — 依頼の伝え方、資料の指定、出力形式と条件の考え方。
  2. OpenAI:Building workspace agents in ChatGPT to complete repeatable, end-to-end work — 接続した業務サービスを使う商談準備の構成例と、環境・権限の前提。

参考情報確認日:2026年10月19日。本記事のプロンプト、業務フロー、表の整理例、導入手順は編集上の提案です。機能・接続先・利用条件はプランや設定などで異なるため、利用時点の公式案内と自社のルールを確認してください。