Excelから始める、見積もり提出後の営業管理

見積もりを出した、その先へ。
「次にいつ、何をするか」を残そう。

提出した日だけでなく、担当者・次回対応日・次の行動までをセットで管理する。いまのExcelを整えるところから、チームで続けられるフォローの仕組みを作ります。

「先週送った、あの見積もり。お客様から返事はあったんだっけ?」

「次に連絡するつもりだったのに、別の対応に追われてしまった」

見積もりを提出した後の確認が、担当者の記憶や個人のメモに残っている。忙しい営業現場では、こうした小さな抜けが積み重なることがあります。

フォローできなかったことだけで失注理由を決めつけることはできません。ただ、確認する機会を逃せば、条件の見直しや追加説明が必要だったことに気づけないまま、検討が進んでしまう可能性があります。

必要なのは、担当者へ「忘れないように」と伝えることに加え、誰が、いつ、何をするかを残し、対応が止まった案件に気づける仕組みです。まずは、使い慣れたExcelでも始められます。

この記事では、フォローが漏れる原因、管理表の項目と判定用の数式、毎日の確認ルールを紹介します。Excelで続けにくくなった際に、vtplusへ段階的に広げる考え方も整理します。

なぜ、見積もりを出した後にフォロー漏れが起きるのか?

見積もり提出までには、要望の確認、社内調整、金額の計算、書類の作成など、多くの作業があります。提出を一区切りにしてしまうと、その先の行動が予定に残らないまま、次の仕事へ移りがちです。

1.「提出した日」はあっても、「次の予定」がない

見積管理表に顧客名・金額・提出日が並んでいても、それだけでは今日の行動が分かりません。「提出から日数が経っている案件」を一つずつ読み直し、担当者が次の動きを考える必要があります。

さらに、担当者ごとにファイルが分かれていたり、「最新版」が複数あったりすると、マネージャーも状況を集め直さなければなりません。提出を記録する台帳と、次に動くための管理表は、役割が異なります。

2.連絡の結果が、個人の記憶やチャットに残る

「来週の会議で検討する」「仕様を一部変更したい」「予算の確認に時間がかかる」。こうした情報が電話やメールの中にとどまると、管理表の「返事待ち」だけが残ってしまいます。

また、メールを送ったことと、お客様が内容を確認・理解したことは別です。連絡した事実に加え、分かったこと、まだ分からないこと、次に確認することを短く記録すると、後から続きを判断しやすくなります。

3.予定の抜けや期限超過を、チームで確認していない

次回対応日を入力しても、誰も確認しなければ予定は埋もれます。マネージャーが売上見込みだけを確認している場合、次の行動が決まっていない案件を見落とすことがあります。

個人の注意力だけに頼らず、予定がない案件や期限を過ぎた案件を確認し、担当者の不在時には代わりの対応を決める。記録と確認をセットにすることが大切です。

フォロー漏れを防ぐ仕組みに必要な、2つの視点

視点1:「次回対応日」と「次の行動」をセットで決める

見積もりを提出したら、担当者とともに「いつ・何をするか」を決めます。「追客する」だけでは行動が曖昧です。「購買担当へ、見積内容の不明点と社内検討の予定を確認する」のように、次に動ける言葉にします。

連絡後も、結果を記録して終わりにせず、継続中なら次の予定へ更新します。受注・失注・見送りなどで終了する場合は、状態と理由を残し、通常のフォロー対象から外します。

予定を決められない場合も放置せず、「担当者が社内で確認する日」を設定します。保留案件では、再開条件や見直す日を決めると、無期限の「返事待ち」を減らせます。

視点2:「今日の対応」と「予定の抜け」が分かるようにする

すべての案件を毎日読み返すのではなく、まずは「期限超過」「本日予定」「予定未設定」を分けて確認します。日付が空欄の案件も拾うことがポイントです。

「見積もり提出から7日経ったら連絡する」という基準は、社内の仮の目安として使うことはできます。ただし、お客様から「来月の会議後に連絡してほしい」と言われているなら、その約束を優先します。

まずはExcelで始める。管理項目と判定の作り方

最初から入力項目を増やしすぎず、次の行動が決まる表に整えます。以下は、新しいシートへ作る場合の一例です。既存の表を変更するときはコピーで試し、列の位置や数式を確認してから使ってください。

STEP 1:1行を1つの案件にして、管理項目をそろえる

1行目を見出し、2行目以降をデータとします。同じ顧客に複数の案件がある場合は、案件IDで区別します。再見積もりが出ても、同じ案件を別案件として二重に管理しないよう、見積番号や版の管理方法も決めましょう。

スマートフォンでは表を左右にスクロールして確認できます。

Excelへ用意する列の例(A〜K列)
列項目入力する内容
A案件IDQ-001など、案件を識別する重複しない番号
B顧客名会社名。必要に応じて顧客コードも別途管理
C案件名何の見積もり・提案か分かる名称
D担当者次の対応を引き受ける人
E見積提出日対象の見積もりを提出した実際の日付
F状態未回答・検討中・再見積中・保留・受注・失注・見送り
G最終連絡日最後に連絡した日。送信だけか、会話できたかはJ列へ
H次回対応日連絡や社内確認など、次の行動を行う日付
I次の行動誰に、何を確認・説明・準備するか
J前回結果・判断待ち会話の要点、顧客との約束、まだ確認できていないこと
K要対応判定次の数式で、予定の状態を表示

F列の状態は、入力規則のリストで選べるようにすると表記をそろえやすくなります。H列などの日付は、文字列ではなくExcelの日付として入力し、表示形式を日付にします。入力規則では日付の範囲も制限できます。[1]

E・G列には実績の日付を入力してください。提出日や最終連絡日にTODAY関数を入れると、日が変わった際に実績の記録も変わってしまいます。

STEP 2:K列へ、期限と予定の抜けを判定する数式を入れる

次の数式をK2へ入力し、データ行へコピーします。上のA〜K列の構成を前提とした、本記事の作成例です。受注・失注・見送りは「終了」、継続中の案件は予定の設定状況とH列の日付で判定します。

=IF(COUNTA(A2:J2)=0,"",IF(OR(F2="受注",F2="失注",F2="見送り"),"終了",IF(OR(A2="",D2="",F2="",H2="",I2=""),"予定未設定",IF(NOT(ISNUMBER(H2)),"日付要確認",IF(INT(H2)<TODAY(),"期限超過",IF(INT(H2)=TODAY(),"本日予定","予定あり"))))))

数式部分だけをコピーしてください。列を追加・移動した場合は参照先を変更します。TODAY関数は現在の日付を返し、日付の更新には再計算が関係します。[2]この式は通知やメール送信を行うものではありません。

K列に表示する判定と、確認すること
判定条件・意味対応すること
予定未設定案件ID・担当者・状態・次回対応日・次の行動のいずれかが空欄担当と予定を確認し、必要項目をそろえる
日付要確認次回対応日が数値の日付として扱われていない文字列や入力内容を確認する
期限超過次回対応日が今日より前未対応か、記録の更新漏れかを確認する
本日予定次回対応日が今日行動内容と顧客との約束を確認して進める
予定あり次回対応日が明日以降予定を保持し、変更があれば更新する
終了状態が受注・失注・見送り通常のフォロー一覧から外し、結果を残す

保留は終了扱いにしていません。見直す日と条件を残すためです。行のA〜J列がすべて空欄なら判定も空欄になります。この数式は入力内容の正しさをすべて検証するものではないため、顧客名や提出日などの必要情報も別途確認してください。

STEP 3:判定で絞り込み、色と文字の両方で確認する

見出しを含む範囲にフィルターを設定し、K列で「期限超過」「本日予定」「予定未設定」「日付要確認」を表示します。必要に応じてD列の担当者でも絞ります。Excelでは、範囲やテーブルへフィルターを設定して対象データを表示できます。[3]

K列には条件付き書式を使い、「期限超過」は淡い赤、「本日予定」は淡い黄、「予定未設定」は淡い青などに分けると探しやすくなります。セルの値に応じた書式設定は、Excelの標準機能です。[4]色だけに頼らず、判定の文字も表示します。

毎日・毎週の確認ルールまで決める

表が整ったら、「誰が・いつ・どこを見るか」を決めます。入力を増やすこと自体を目的にせず、普段の仕事の区切りで更新できるようにしましょう。

見積もり提出時:次回の対応を決めてから一区切りにする

提出日だけでなく、担当者・状態・次回対応日・次の行動を登録します。お客様と検討時期を確認できていれば、その予定を基準にします。未確認なら、まず検討の進め方を確認する行動を設定します。

連絡後:結果と次の予定を更新する

「メール送信、返信待ち」「会議で検討予定。会議後に担当者へ確認」など、分かったことを短く残します。継続中ならH・I列を次の予定へ更新し、完了した予定がいつまでも期限超過にならないようにします。

J列は直近の要点を残す場所です。過去の経緯も必要なら、案件IDにひもづく別の履歴表へ、連絡日・担当者・結果・次の約束を追記します。最新のメモで過去の記録を上書きし続けないようにしましょう。

毎朝:担当者が「今日動く案件」と「予定の抜け」を確認する

共有する管理表を開き、再計算とフィルターを確認してから、期限超過・本日予定・予定未設定を見ます。表示された案件を機械的に順番処理するのではなく、顧客との約束、社内準備、期限、影響を確認して優先順位を決めます。

週次:マネージャーが止まっている理由と支援を確認する

予定がない案件、期限超過が続く案件、保留の案件を確認します。「なぜ連絡していないか」を聞くだけでなく、社内回答待ち、条件調整、担当者不在など、進めるために必要な支援を整理します。

休暇や異動があれば、誰が引き継ぐかも決めます。管理表の保存先と更新ルールを統一し、担当者のデスクトップにあるコピーが正本にならないようにします。共有方法とアクセス権は、会社が認めた環境で整えましょう。

Excelで続けにくくなったら、vtplusでフォロー管理を広げる

少人数で確認が回っているなら、まずはExcelを整える方法で構いません。一方、同時更新や履歴管理に手間がかかる、担当者の不在時に経緯を探しにくい、営業以外の部門にも情報を渡したい。こうした状況では、CRMで管理する範囲を検討します。

1.顧客・案件・次の予定・履歴を関連付ける

vtplusでは、OSS版VtigerCRMの基本機能と業務支援アプリなどを組み合わせ、顧客と案件、対応履歴、次の行動を扱う仕組みを整えます。担当者のファイルを探す代わりに、必要な情報を関連から確認しやすい構成を目指します。

全員にすべてを見せるのではなく、役割と担当範囲に応じた権限を設定します。既存Excelの取り込みでは、顧客の重複、案件の識別、担当者や日付の対応を確認し、移行する履歴と範囲を決めます。

2.「本日予定」「予定未設定」など、必要な一覧を整える

例えば、「次回対応日が今日」「期限を過ぎたが未完了」「見積もり提出後なのに次の予定がない」といった条件で、確認したい案件を整理します。見積もり提出日、最終連絡日、顧客からの回答、活動の完了状態など、何を判定に使うかを決めます。

一覧表示、ダッシュボード、通知などは、標準機能・設定・業務支援アプリ・必要な開発の組み合わせを確認して実現範囲を決めます。すべての条件や通知が、導入だけで自動的に使えるという意味ではありません。

3.「こんな一覧がほしい」を、AIを活用して試作する

「今のExcelのこの項目は残したい」「担当者ごとに今日の予定を確認したい」「社内の回答待ちを分けたい」。細かな仕様書が未完成でも、普段の言葉で相談できます。

既存機能で対応できる範囲を整理し、不足する画面はAIを活用した試作・開発も検討します。実際の操作を見ながら調整し、権限・条件分岐・既存機能への影響を確認して仕上げます。試作する範囲、費用、確認する条件は合意して進めます。

4.まずは「提出後のフォロー」から始める

最初から営業のすべてを変える必要はありません。一部の担当者と進行中の見積もり案件から試し、入力や確認が続くかを確かめます。必要に応じて、顧客情報や受注後の引き継ぎへ範囲を広げます。

OSS版VtigerCRM本体のユーザー単位ライセンス料は0円です。ただし、初期導入、社員規模に応じたCRMサポート、業務支援アプリ、サーバー実費、移行・追加開発などの費用は別途確認が必要です。利用者が増えても運用総額が一切変わらない、という意味ではありません。

効果は、連絡件数だけでなく「次の対応が決まったか」で見る

電話やメールの件数が増えただけでは、フォローが良くなったとは限りません。お客様の検討が進むための情報を確認できたか、次の動きを決められたかも振り返ります。

  • 予定未設定の件数:継続中なのに担当者・日付・行動がそろっていない案件は何件か。
  • 期限超過の件数と経過日数:未対応なのか、記録の更新漏れなのか。社内で支援できることはあるか。
  • 結果の記録状況:連絡した事実と、確認できた内容・未確認事項を残せているか。
  • 確認の手間:案件を探す時間や、社内で「どうなった?」と聞き直す手間が減ったか。
  • 案件の結果:受注・失注・見送りの理由を残し、同じ条件の案件で傾向を確認できるか。

導入前後の件数や案件の条件をそろえて比較します。受注率や売上は、価格、競合、顧客側の事情などでも変わるため、フォロー管理だけの成果として断定しないようにしましょう。

見積もり後のフォロー管理で、よくある質問

見積もり提出から何日後に連絡すればよいですか?

一律の日数では決められません。商材、見積もり内容、顧客の検討時期、合意した連絡方法に合わせます。まずは提出時に、内容確認のタイミングや検討予定を確認し、それを次回対応日に反映します。

Excelの数式を入れれば、フォロー漏れはなくなりますか?

数式は、予定の抜けや期限超過を見つける補助です。入力・更新・再計算・フィルターの確認と、実際の対応は必要です。担当者と確認のタイミング、引き継ぎのルールを合わせて決めます。

今のExcelのまま、少人数から始めてもよいですか?

構いません。まず進行中の見積もり案件に絞り、担当者・次回対応日・次の行動をそろえて試せます。既存表を変える場合はコピーで確認し、列の参照やフィルター範囲に誤りがないかを確かめてください。

vtplusでは、顧客へ自動でフォローメールを送れますか?

必要な処理と実現方法を個別に確認します。社内のリマインダーと、顧客への自動送信は別の設計です。送信条件、宛先、重複防止、連絡停止の扱い、内容確認などを決め、自動送信を使う範囲を検討します。

まずは、いま提出している見積もりの「次の予定」から

新しい仕組みの出発点は、進行中の見積もりについて「担当者」「次回対応日」「次の行動」を確認することです。予定がない案件や、連絡の結果が分からない案件を見つけ、次の動きを決めてみてください。

その運用をExcelで続けられるなら、まずは使い慣れた方法で整えます。履歴や共有、確認の手間が増えてきたら、必要な範囲をCRMへ広げることも選べます。

「あの見積もり、どうなった?」と聞き直す前に、次にすることが分かる状態へ。vtplusでは、今の管理表と仕事の流れをもとに、現場で続けられる仕組みを一緒に考えます。