CRMの費用と、全社で使う仕組みを考える
社員が増えても、
情報共有をためらわないCRMへ。
営業だけでなく、事務・サポート・現場にも顧客情報を届けたい。そんな会社のために、ユーザー単位のライセンス料がかからないOSSベースのCRM「vtplus」という選択肢を解説します。
「導入したときは月額数万円だったのに、全社に広げようとすると予算が合わない……」
「事務スタッフや保守部門にも使ってほしいけれど、アカウント代が気になる」
CRM(顧客管理)やSFA(営業支援)は、必要な人が情報を残し、必要なときに確認できてこそ役に立ちます。ところが、利用者ごとに料金が加算される契約では、社内に活用を広げるほど費用が増え、情報共有の範囲を狭めてしまうことがあります。
社員が増えることも、部署を越えて連携が進むことも、本来は前向きな変化です。そのたびに「この人にもアカウントを出すべきか」と悩まなくてよい仕組みがあれば、CRMの使い方も変わります。
この記事では、ID課金で費用が増える理由、アカウントを絞ることで起きる問題、そしてOSS版VtigerCRMを基盤とするvtplusの費用の考え方を整理します。30名で利用する場合の試算では、初期費用と運用費用を分けて確認します。
なぜクラウドCRMは、使い始めてから費用が増えるのか?
導入時には予算内だったCRMも、利用部門や必要な機能が増えると費用が変わります。ID課金そのものが悪いわけではありません。少人数で導入しやすく、保守もサービス提供者に任せやすい仕組みです。ただし、最初の5名で使う費用と、将来の全社利用の費用は分けて確認する必要があります。
5名で月4万円。30名に広げると年間288万円になることも
例えば、1人あたり月額8,000円のプランなら、営業5名での利用料は月4万円です。「この費用なら始められる」と判断しやすい金額でしょう。
運用が進むと、受注後の手配をする事務担当、問い合わせを受けるサポート担当、案件の動きを確認する管理職にも、同じ情報が必要になります。利用者が30名になれば月24万円、年間では288万円です。50名なら月40万円、年間480万円になります。
これは特定サービスの価格ではなく、1ID月額8,000円が全利用者に適用されると仮定した計算例です。導入時には、現在の人数だけでなく、1年後・3年後に誰まで使うかを見込んでおきましょう。
「見るだけ」の人にも、料金が発生する場合がある
CRMを毎日使い込む営業担当者と、電話の取り次ぎ時に履歴を確認する事務スタッフでは、利用頻度も必要な機能も異なります。同じ有料ライセンスが必要な契約なら、利用頻度が少ない人を追加する際に割高感が生まれます。
一方で、サービスによっては閲覧専用・限定機能のアカウントや無料枠が用意されています。「見るだけなら無料だろう」「全員に同じ料金がかかるだろう」と決めつけず、その人が行う操作に必要なライセンスを確認することが大切です。
容量・上位プラン・AI機能も、契約条件を確認する
毎月の費用に影響するのはID数だけではありません。次のような条件も確認しておきたい項目です。
- データ容量:見積書・写真・添付ファイルの保存量が増えた場合、追加料金が必要か。
- 権限や自動化:必要な設定が現在のプランで使えるか、上位プランへの変更が必要か。
- AI機能:基本料金に含まれるか、ユーザー単位・実行回数・処理量などによる追加料金があるか。
- 契約条件:最低契約数、年間契約、人数の増減やプラン変更の扱いはどうなっているか。
費用を比較するときは、最安プランの表示価格ではなく、実際に必要な機能を使える構成で見積もりをそろえましょう。
アカウント数を絞ることで起きる、3つの現場の弊害
費用を抑えるために利用者を限定することは、選択肢のひとつです。ただ、顧客対応に必要な人まで外してしまうと、別の場所で手間やリスクが増えることがあります。
1.共通アカウントでは、誰が対応したか追いにくくなる
「営業部共通」「事務スタッフ共通」といったアカウントを複数人で使うと、システム上の更新者が同じ名前になり、実際に誰が対応したのかを追いにくくなります。
連絡漏れを確認するときや、誤った更新を調べるときに、関係者への聞き取りが必要になるかもしれません。退職や異動のたびに、共有パスワードの変更と再周知も必要です。サービスの契約条件によっては、アカウント共有が認められていない場合もあります。
1人に1つのアカウントを用意し、役割に応じて権限を設定することが、運用の基本です。誰の操作を、どの範囲まで履歴として残せるかも、導入時に確認しましょう。
2.使えない部署のために、Excelへの転記が復活する
営業にはCRMがあるのに、受注後の手配をする部署にはアカウントがない。この状態では、受注のたびに営業が顧客名・納品先・約束事項をExcelへ転記し、メールやチャットで送ることになりがちです。
その後に納期や担当者が変われば、CRMとExcelの両方を直し、再度連絡しなければなりません。情報の置き場所が増えるほど、「どちらが最新か」の確認も必要になります。
アカウント費用を抑えられても、転記・照合・確認の時間が増えていないか。人が補っている作業まで含めて費用を考えると、判断が変わることがあります。
3.営業・サポート・現場の情報がつながらない
営業担当が商談を記録し、サポート担当が問い合わせを残し、現場担当が納品や保守の状況を更新する。こうして情報が集まると、担当者が不在でも、会社として次の対応を判断しやすくなります。
一部の人しか使えない状態では、情報が個人のメモや部門ごとのファイルに残り続けます。お客様から電話があっても、受付担当が状況を確認できず、折り返しに時間がかかるかもしれません。
もちろん、全員にすべてを見せる必要はありません。目指したいのは、必要な人が、権限の範囲内で、同じ顧客情報を確認できる状態です。
ID課金に依存しない「第3の選択肢」とは?
高額になった利用料を払い続けるか、利用者を絞って我慢するか。その前に、費用の仕組みが異なるCRMも比較してみてください。アイプランナーが提供するvtplusは、OSS版VtigerCRMを土台に、業務支援アプリと導入・運用支援を組み合わせるサービスです。
SaaSでも、ゼロからの開発でもない、既存のCRMを活かす方法
システムの導入方法には、クラウドサービスの利用、既存パッケージの導入、個別開発などがあります。「第3の選択肢」は、これらが3種類しかないという意味ではありません。完成済みのOSSを基盤に、自社の業務へ合わせて整える方法としての提案です。
vtplusでは、顧客・担当者・案件・問い合わせなどを扱う既存のCRM機能を活かします。すべてをゼロから開発する範囲を抑えながら、足りない部分を設定や業務支援アプリ、個別開発で補います。
自社向けの環境を持てる一方で、更新・バックアップ・障害対応などの運用は必要です。クラウドサービスとの比較では、自由度だけでなく、誰が維持管理を担うかも一緒に確認します。
OSS版VtigerCRM本体のユーザー単位ライセンス料は0円
OSS版VtigerCRM本体には、利用者を1人追加するごとのライセンス料がありません。10名・30名・100名と利用者が増えても、本体のIDライセンス料は0円です。Vtiger社のクラウド版とは異なる製品・提供形態です。
ただし、vtplus全体を無料で運用できるという意味ではありません。初期導入支援、社員規模に応じたCRMサポート、業務支援アプリ、インフラの保守・実利用料などが必要です。利用量が増えればサーバーの増強が必要になる場合もあります。
「見るだけ」「一部だけ使う」人にも、個人アカウントを配りやすい
本体のID課金がないため、利用頻度が少ない人も含め、業務上必要な人へアカウントを配りやすくなります。
- 営業:商談の経緯、見積もり後の対応予定、受注見込みを登録する。
- 受付・事務:電話の取り次ぎ前に、顧客の担当者や対応履歴を確認する。
- 現場・保守:担当する納品・設置・修理の状況を確認し、結果を残す。
- 経営者・管理職:案件や顧客対応の状況を把握し、判断に使う。
部門・役職・担当範囲に応じた権限を設計し、不要な情報まで開放しないことも大切です。「全員が使える」と「全員が何でも操作できる」を分けて整えます。
【試算比較】30名で使う場合、費用はどう違う?
社員30名の会社で30名が利用するケースを例に、費用の構成を比べます。ID課金型は1ID月額8,000円と仮定し、vtplusは公開料金にある社員11〜50名の区分を使います。すべて税別の参考試算です。
vtplusの月額は、CRMサポート5万円、業務支援アプリ使い放題2万円、AWS環境のインフラ保守支援の参考額2万円を選んだ場合の計9万円とします。サーバー実費は別途です。
スマートフォンでは、表を左右にスクロールして確認できます。
| 比較項目 | ID課金型CRMの仮定例 | vtplusの構成例 |
|---|---|---|
| 本体のIDライセンス料 | 8,000円 × 30名=月24万円 | 0円 |
| 月額の比較対象 | ライセンス料:24万円 | 支援・アプリ利用料:9万円 CRMサポート5万円+対象アプリ2万円+AWS保守支援参考2万円 |
| 1年間の上記月額分 | 288万円 | 108万円 |
| 3年間の上記月額分 | 864万円 | 324万円 |
| 初期導入支援費 | サービス・導入範囲に応じて別途確認 | 200万円 社員11〜50名の区分。合意した範囲の支援・アプリ作成4個までを含む |
| 初期+3年間の、金額を示した費目の小計 | 864万円+初期費用等 | 524万円+実費等 |
| 30名から40名へ増えた場合 | ライセンス料は年96万円増 8,000円 × 10名 × 12か月 | 本体の追加ID費用は0円 社員規模の区分・構成・契約範囲が変わらなければ、上記支援・アプリ利用料も同額 |
| 表に含めていない主な費用 | 初期設定、移行、追加機能、容量追加、連携、AI利用、社内作業等 | サーバー・ストレージ等の実費、関連を維持する移行、追加開発、外部サービス・AI API、更新作業、社内作業等 |
vtplusの料金は2026年10月27日に公開料金ページで確認した内容を基にしています。AWS環境以外のインフラ支援は構成・範囲に応じた個別見積です。対象アプリ、サポート、導入・移行の範囲や最新条件は、料金・導入費用ページと個別見積もりでご確認ください。
同じ条件の総費用をそろえて、初めて比較できる
表の小計は、完全な総保有コスト(TCO)ではありません。クラウド側には標準で含まれる保守やバックアップがある一方、OSS側では構成や契約範囲を個別に決めます。必要な機能も運用条件も、必ずしも同一ではありません。
比較するときは、初期費用+利用予定期間の月額費用+実費・追加作業費を両方でそろえます。移行費用、データ容量、更新費用、社内担当者の作業も含めて確認しましょう。
「何名以上なら必ず安い」と一律にはいえません。少人数・短期利用ならクラウドサービスが合うこともあります。部門を越えて利用者を広げたい会社や、長く使いながら業務に合わせて改善したい会社では、OSSベースの仕組みを比較する価値があります。
自社の人数・構成で、費用の目安を確認する
現在の利用料に加え、今後使ってほしい部門や必要な支援を整理すると、比較しやすくなります。
費用だけではない。vtplusで業務を整える3つの特徴
OSSは、導入すれば自動的に使いやすくなるわけではありません。現場に合う入力方法、必要な情報の見せ方、導入後の相談先まで含めて整えることが必要です。vtplusでは、CRM本体に業務支援アプリと導入・運用支援を組み合わせます。
1.業務支援アプリで、日々の入力や確認を補う
入力する人の負担を減らす、見積もり後の対応を確認しやすくする、集計や顧客対応を支援する。vtplusでは、こうした業務を補う独自の業務支援アプリを用意しています。
対象となる既存アプリの「使い放題」は、1社あたり月額2万円の定額メニューです。ユーザーごとにアプリ利用料を加算する方式ではありません。まずは改善したい仕事に必要なものを選び、使う範囲を広げていけます。
新規開発・個別設定・カスタマイズ、第三者製品や外部サービスの利用料は別途です。すべての機能が無条件に含まれるものではなく、対象アプリと対応バージョン、導入作業の範囲を事前に確認します。
2.「こんな画面がほしい」を、AIを活用して具体化する
「見積もりを出した後、次の連絡予定がない案件を探したい」「訪問が終わったら、スマートフォンから結果だけ残したい」。ご要望は、普段の言葉からお聞かせください。
まず標準機能と既存アプリで実現できる範囲を確認し、足りない部分はAIを活用した試作・開発も選択肢にします。実際の画面を見ながら、「必要な項目が足りない」「この入力は省ける」と調整することで、現場との認識をそろえやすくなります。
AIの出力をそのまま本番へ入れるのではなく、設計・権限・動作・既存機能への影響を確認して仕上げます。細かな仕様書が未完成の段階でも相談できますが、実装する範囲と費用、受け入れ条件は確認したうえで進めます。
3.環境づくりから運用改善まで、ひとつの窓口で相談できる
社内に専任のシステム担当者がいなくても、サーバー環境の選定、導入設定、データ取り込み、操作説明、運用開始後の改善をアイプランナーへ相談できます。対応する内容は、契約したメニューと作業範囲に応じて整理します。
データ移行では、CSVの単純な取り込みと、既存CRMの顧客・担当者・案件・履歴の関連を保つ移行で作業が異なります。後者は調査・変換・検証などが必要となり、別途見積もりです。サーバーの保守支援費と、サーバーそのものの実利用料も分けて確認します。
要約や企業調査など、日々の業務でAIを使いたい場合は、送信するデータ、実行するタイミング、権限、保存先、外部サービスの契約条件も設計します。外部AIを使う機能では、処理のために対象データが外部へ送信されることがあるため、便利さとデータの扱いを一緒に確認することが大切です。
自社に合うかは、「何人に配れるか」の先まで確認する
ID課金がないことは、全社利用を進めやすくする条件のひとつです。それだけでシステム選定が決まるわけではありません。次のような希望がある会社では、vtplusの構成を具体的に検討してみてください。
- 営業だけでなく、事務・サポート・現場にも顧客情報を共有したい。
- 閲覧や一部の更新だけを行う人にも、個人アカウントを用意したい。
- 既存の顧客・案件管理を土台に、自社独自の仕事もつなげたい。
- 導入後も、現場の声を聞きながら入力や確認の仕組みを改善したい。
一方で、少人数ですぐに使い始めたい場合や、特定のクラウドサービス固有の機能・連携が不可欠な場合には、既存のSaaSが適していることもあります。運用管理を全面的に任せたい場合も、支援範囲と対応条件をよく確認しましょう。
相談前には、この4点が分かれば検討を始められる
- 現在の費用:ライセンス・オプション・保守などの月額と年額。
- 使いたい人:現在と将来の利用人数、所属部門、必要な操作。
- 改善したい仕事:転記、確認待ち、引き継ぎ、入力などの具体的な困りごと。
- 引き継ぎたい情報:顧客・担当者・案件・履歴・添付、既存システムとの連携。
分からない項目は未定で構いません。現状を確認しながら、必要な構成と比較条件を一緒に整理します。
CRMのID課金とvtplusについて、よくある質問
ユーザーが増えても、vtplusの費用は一切増えませんか?
OSS版VtigerCRM本体のユーザー単位ライセンス料はかかりません。ただし、CRMサポートには社員規模による区分があり、サーバー増強や支援範囲の変更などで運用費用が変わる場合があります。社員数の数え方や区分変更時の扱いは、契約時に確認します。
「見るだけ」の社員にも、個別のアカウントを作れますか?
業務上必要な人に個人アカウントを用意し、権限を設定して利用する構成を検討できます。見せる情報、編集・削除の可否、データ出力の扱いなどを整理し、実際の操作で確認します。
現在のクラウドCRMから、履歴も移せますか?
移行元から出力できるデータ、項目構造、顧客・案件・活動履歴・添付の関係によって対応方法が変わります。事前調査とテスト移行で確認します。関連を維持する移行は、単純なデータ取り込みとは別の費用が必要です。
AI機能も、月額2万円ですべて使えますか?
月額2万円は、対象となる既存業務支援アプリの利用メニューです。外部AI APIの利用料、第三者サービス、新規開発や個別設定などは別途です。使いたい機能に必要な契約・費用・データの扱いを確認してご案内します。
システムの予算を、業務を良くするために使う
社員や利用部門が増えるたびに、アカウントを発行するかどうかで悩んでいる。そんなときは、現在の料金プランだけでなく、システムの持ち方から見直す機会かもしれません。
必要な人が使えること。顧客情報が部門を越えてつながること。現場の仕事に合わせて改善できること。そのために必要な費用を、導入後まで含めて比較しましょう。
vtplusでは、現在のシステム、今後使いたい人数、改善したい業務から、必要な構成を整理します。「移行するといくらかかる?」「今のExcelを活かせる?」といった段階から、お気軽にご相談ください。
